債券投資は本当に安全? 米国債・個人向け国債のリスクとリターンを再確認
「株式投資は怖いから、安全な債券にしておこう」 「米国の金利が高いから、米国債を買えば絶対に儲かるはずだ」
新NISAの盛り上がりとともに、株式だけでなく「債券」への注目も高まっています。 一般的に、債券は「ローリスク・ローリターン」の代表格とされ、守りの資産運用の要(かなめ)と言われます。
しかし、もしあなたが「債券=絶対に損をしない安全資産」と思い込んでいるとしたら、それは非常に危険な誤解です。
特に、いま人気を集めている「米国債(外国債券)」には、株式とは異なる種類の落とし穴があり、「利息はもらったけれど、トータルでは大損した」というケースも珍しくありません。
この記事では、日本の「個人向け国債」と「米国債」を明確に区別し、それぞれの本当のリスクと、正しい活用法について徹底解説します。
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1. そもそも「債券」とは何か?
債券とは、国や企業にお金を貸して、その証明として受け取る「借用証書」のようなものです。
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株式: 企業のオーナーになる(返済義務なし)。
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債券: 国や企業にお金を貸す(満期になれば返ってくる)。
「満期まで持っていれば、元本が返ってきて、さらに利息ももらえる」。 この仕組みだけを見れば、確かに預貯金よりも有利で、株式よりも安全に見えます。しかし、そこには「誰にお金を貸すか」によって天と地ほどのリスク差があります。
2. ほぼ唯一の安全資産「個人向け国債(日本)」
まず、日本国内の「個人向け国債」について見ていきましょう。 結論から言うと、日本円で生活する私たちにとって、「元本割れしない最強の安全資産」はこれしかありません。
なぜ安全なのか?
日本の個人向け国債(特に「変動10年」タイプ)には、国が約束した以下の鉄壁のルールがあります。
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元本保証: 満期(10年)を待たずに途中で解約しても、国が元本を保証して買い取ってくれます(※発行から1年経過後)。
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最低金利保証: どんなに世の中の金利が下がっても、年率0.05%の金利は最低限保証されます。
唯一のリスク:インフレ負け
「お金が減る(元本割れ)」リスクはありません。 しかし、物価が年2%上がっているのに、国債の金利が0.5%しかなければ、実質的な資産価値は目減りします。 それでも、「変動10年」タイプなら市場金利に合わせて利息も増えるため、大手銀行の定期預金よりは遥かにインフレへの抵抗力があります。
【結論】 「絶対に減らしたくないお金(教育資金や生活防衛資金)」の置き場所として、これ以上の選択肢はありません。
3. 高金利の罠? 「米国債」の隠れたリスク
問題は、こちらです。 最近の米国債は、年利4%〜5%(※時期による)という魅力的な高利回りを提示しています。 日本の金利がほぼゼロに近い中、「米国債を買わない手はない!」と思うのも無理はありません。
しかし、米国債には日本の国債にはない「2つの巨大なリスク」があります。
リスク①:価格変動リスク(金利リスク)
「債券は満期まで持てば元本が戻る」と言われますが、「途中で売りたくなった時」は別です。
債券の価格は、世の中の金利とシーソーの関係にあります。
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米国の金利が上がる → 債券価格は下がる
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米国の金利が下がる → 債券価格は上がる
もし、あなたが債券を買った後に米国の金利がさらに上昇した場合、あなたの持っている債券の価値は暴落します。そのタイミングで現金が必要になり売却すると、「元本割れ」を起こします。
「債券ETF(TLTやAGGなど)」の場合は満期がないため、この価格変動の波をモロに受け続けることになります。
リスク②:為替リスク(これが最大!)
日本人が米国債を買う場合、必ず「円」を「ドル」に換える必要があります。 ここで、高い利息を一瞬で吹き飛ばすほどの損失が出る可能性があります。
【シミュレーション:恐怖の円高シナリオ】
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投資額: 100万円
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為替レート: 1ドル=150円で購入(約6,666ドル)
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金利: 年4%(税引前)
1年後、金利で約266ドル(約4万円)増えました。 しかし、為替が「1ドル=130円」になっていたらどうなるでしょうか?
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手持ちドル: 6,666ドル + 266ドル(利息) = 6,932ドル
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円に戻す: 6,932ドル × 130円 = 約90万円
結果: 利息をもらったのに、トータルで10万円のマイナスです。 金利4%を得るために、為替で13%損をした計算になります。
このように、外国債券は「安定した利息」と引き換えに、「為替というギャンブル」を背負う商品であることを忘れてはいけません。
4. 「生債券」と「債券ファンド(投資信託)」の違い
米国債へ投資する方法には2種類あります。これもリスクの形が違います。
A. 生債券(なまさいけん)
「米国国債」そのものを直接購入する方法です。
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メリット: 満期まで持てば、ドルベースでの元本は保証されます。
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デメリット: まとまった資金が必要で、満期まで資金が拘束されやすい。
B. 債券ファンド(投資信託・ETF)
多くの債券をパッケージにした投資信託を買う方法です。
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メリット: 少額から買えて、いつでも売却可能。分散効果がある。
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デメリット: 「満期」がありません。 常に価格が変動しているため、「持っていれば必ず元本が戻る」という保証がどこにもありません。金利上昇局面ではズルズルと基準価額が下がり続けることがあります。
「安全パイ」だと思って債券ファンドを買ったら、株価と一緒に暴落した……というのはよくある話です。
5. 結論:債券をポートフォリオにどう組み込むか
以上のリスクを踏まえた上で、私たちはどう債券と付き合うべきでしょうか。
日本の「個人向け国債(変動10)」の扱い
→ 「現金の代わり(最強の貯金箱)」として使う。 銀行に置いておくよりマシ、という感覚で、無リスク資産の置き場として活用しましょう。ポートフォリオの「守り」の要です。
米国債(外国債券)の扱い
→ 「株式とは違う動きをするリスク資産」として使う。 決して「安全資産」と思って買ってはいけません。 「株式が暴落した時に、逆に値上がりしてクッションになってくれるかもしれない」という分散効果を期待して持つものです(※ただし、株と債券が同時に下がることもあります)。
また、「為替リスクがあっても、ドルで利息(インカム)が欲しい」という明確な目的がある場合に限り、資産の一部(サテライト枠)で保有するのが正解です。
まとめ:その「安全」は、どの通貨での話ですか?
「米国債は世界で一番安全な資産だ」 これは金融業界の常套句です。 しかし、それは「ドルを持っている米国人にとって」の話です。
円で暮らす私たちにとって、米国債は「為替リスク」という荒波を超えなければならない「リスク商品」です。
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元本を絶対に割りたくないなら、日本の「個人向け国債」。
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リスクをとってでも高い利息や分散効果を狙うなら、「米国債」。
この違いをはっきりと区別してください。 「債券だから安心」と思考停止せず、自分が取ろうとしているリスクの正体を正しく理解すること。それが、あなたの大切な資産を守る第一歩です。
