生成AIを悪用!高齢者を狙うフィッシング詐欺と特殊詐欺対策ガイド

現在、生成AIを悪用した詐欺が横行していることをご存じですか?
生成AIは私たちの生活に多くの利便性をもたらしてくれているデジタルツールです。

ところがその一方で、フィッシング詐欺や特殊詐欺の暗躍にも大きく貢献しています。
特にそのターゲットとされているのが高齢者です。
「まさか自分が・・・」と思っている方こそ、ぜひご一読され、巧妙な手口を見破る目を養ってください。

今回は生成AIを悪用し、高齢者を狙うフィッシング詐欺と特殊詐欺の対策ガイドについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。

特殊詐欺のイメージ画像

生成AIの進化でフィッシング詐欺・特殊詐欺が巧妙化?

生成AIの進化により、フィッシング詐欺や特殊詐欺が巧妙化しています。
では、一体なぜでしょうか。その理由は主に次の3点です。

①本物と見分けがつかないクオリティ

生成AIは、文章、画像、音声、動画などを驚くほどリアルにしかも素人でも簡単につくれるツールです。
そのため本物と見分けがつかず、簡単に騙されてしまいます。
銀行や大手企業などのウェブサイトの偽物をつくることなども容易にできてしまいます。

②人の心理を操る

生成AIは、人の感情や行動パターンを学習し、人を心理的に操る詐欺をつくれるツールです。
相手を信用させ、意のままに動かし、緊急性を煽り、冷静な判断力を奪った後、何らかの行動をとらせます。
そのため、用心していても騙されやすい心理状態に陥ります。

③大量生産ができる

生成AIは、詐欺メールや偽サイトを短時間で大量につくることができるツールです。
大量に送信し、数人でも引っかかる人がいれば詐欺師的にはOKなのです。

詐欺師はその数人にターゲットを絞り込み、金銭的搾取を行います。
このように生成AIが進化すると、警察や専門のセキュリティ会社でも「本物」か「偽物」かを見抜けないレベルになります。

そうなると一般の人では生成AIを悪用したフィッシング詐欺・特殊詐欺を見破ることはほぼ不可能です。

そもそも「フィッシング詐欺」とは何か?

フィッシング詐欺とは、偽のメールやウェブサイトを使って、個人情報を盗む詐欺のことです。
主に次の流れで個人情報を盗まれます。

  1. 被害者のメルアドにメールが送られてくる
  2. メールのリンクをクリックする
  3. 本物のサイトそっくりの偽のウェブサイトに誘導される
  4. サイトに自分のIDやパスワードを入力する
  5. 情報が詐欺師に盗まれる

ちなみにフィッシング詐欺の名前の由来は、偽のエサを仕掛けて、魚を釣るように個人情報を盗む手口からフィッシング詐欺と名づけられました。

そもそも「特殊詐欺」とは何か?

特殊詐欺とは、電話・メール・SNSなどを使い「非対面」で、相手を心理的に操作して騙す詐欺のことです。
一般的な詐欺と違い、直接会ったり物理的なやり取りを一切しません。

簡単にいうと、特殊詐欺は被害者と詐欺師の間に必ずなにかしらの「ツール」を挟み、被害者の感情を揺さぶって騙すという特徴があります。

例をあげると「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」のようなものです。

なぜ高齢者はフィッシング詐欺・特殊詐欺に狙われるのか?

近年、フィッシング詐欺や特殊詐欺の被害が後を絶ちません。
その中でも、特に高齢者が狙われやすい傾向にあるといわれています。

では、一体なぜ高齢者が狙われるのでしょうか。
高齢者がフィッシング詐欺・特殊詐欺に狙われやすい理由は主に次の3点です。

・簡単に人を信用しやすい
・貯金や資産を持っている
・自分が詐欺に遭っていることが見抜けない

これらの理由により、高齢者は詐欺師にとって格好の標的になる確率が高いです。
一般的に高齢者は、銀行・警察・行政などを信用しています。

そのため銀行・警察・行政などを装った詐欺師から「今すぐ対応しないと大変なことになる!」と不安を煽り、焦らされると、簡単に詐欺の手口にハマりお金を渡してしまうかもしれません。

また一度詐欺に引っかかった高齢者は「カモリスト」に載せられ、さらに次の詐欺師から狙われ続けるといわれています。

生成AIの進化で増加傾向にあるフィッシング詐欺・特殊詐欺

以前から、フィッシング詐欺や特殊詐欺は存在していました。
ところが現在、生成AIの急速な進化で、フィッシング詐欺や特殊詐欺が巧妙化し増加傾向にあるといわれています。

こちらでは生成AIの進化で巧妙化し増加傾向にあるフィッシング詐欺・特殊詐欺についてご紹介します。

①SNS型投資

SNS型投資とは、SNSを利用し「儲かる投資話」をエサに被害者から金銭を騙しとる詐欺のことです。
特徴はSNSを通じて、有名人を装ったり、偽の投資話を持ちかけ、個人情報やお金を騙しとり、その後連絡が取れなくなります。

・詐欺の区分
SNS型投資詐欺は、フィッシング詐欺と特殊詐欺の両方に区分されます。

生成AIを使った巧妙化
生成AIを使うと、偽のプロフィール、偽の成功体験、偽の投資話を本物のように生成し、説得力のあるストーリーに仕上げることが可能です。そのため被害者は本当の話だと信じてしまいます。

SNS型投資詐欺対策
高齢者がSNS型投資詐欺から騙されないようにするには、知らない「リンク」や「アプリ」は絶対にクリックしないことです。またメッセージは即削除、またはブロックしてください。

②偽警官詐欺

偽警官詐欺とは、警察官を装った詐欺師が、人を騙して個人情報や金銭を盗む詐欺のことです。

例をあげると詐欺師が「警察です!」「警視庁の○○課の者です!」などと名乗り、電話や直接訪問で接触し、本物の警察官のような話し方や態度で信頼させ情報やお金を奪います。

・詐欺の区分
偽警官詐欺は特殊詐欺に区分されます。

生成AIを使った巧妙化
生成AIを使うことで、本物の警察官そっくりの声や動画がつくれ、人を騙すシナリオ作成も可能です。
また最近はディープフェイク(AIを用いて生成された偽の画像や映像、音声、またはそれらを生成する技術)を使ってビデオ通話で話しかけるのでかなり巧妙です。

偽警官詐欺対策
高齢者が偽警察官詐欺に騙されないようにするには、警察を名乗る電話が来たら、即自分で最寄りの警察署や110番に電話して、本当に警察からの連絡かを確認してください。

警察官が家に来た場合でも、同じように最寄りの警察署や110番に電話して名前や所属部門が本物かどうかを確認しましょう。

③還付金詐欺

還付金詐欺とは、「税金や保険料の還付金がある」などのウソの連絡をしてきて、被害者を騙し金銭を奪う詐欺のことです。
詐欺師は「税金や保険料の還付金がある」と連絡してきて、ATMに誘導してお金を騙しとります。この時、実際には「還付金」は存在しません。

ポイントは被害者の口座から詐欺師の口座にお金を振り込むように仕向けることです。

・詐欺の区分
還付金詐欺は特殊詐欺に区分されます。

・生成AIを使った巧妙化
生成AIを使うことで、税務署や役所の職員を装って電話をかけてくることができます。
最近の生成AIは地域の方言や丁寧な口調も再現できるので怪しいと感じにくいです。さらに、被害者の反応に合わせて会話を調整することもできてしまいます。

・還付金詐欺対策
高齢者が還付金詐欺に騙されないようにするには「還付金がある」「お金が戻ってくる」といった電話やメールが来たら、まずは疑うことです。
一度電話を切って、再度こちらから税務署や役所に電話をかけて真偽をたしかめてください。

④架空料金請求詐欺

架空料金請求詐欺とは、偽の請求で被害者を騙し金銭を奪う詐欺のことです。

例をあげると、「有料サイトに登録したので〇万円払ってください」「未払いの携帯料金があります」など、身に覚えのない請求が被害者に届き「今すぐ払わないと裁判になります」など、急かしたり脅したりします。

通常、請求は電話、メール、SMS、はがきなどを使って連絡してきます。

・詐欺の区分
架空料金請求詐欺は、特殊詐欺に区分されます。

生成AIを使った巧妙化

生成AIを使うことで、公式な企業の文体やデザインを模倣し、さらに自然で説得力のある文章や請求書を作成できます。本物とそっくりなのでほぼ見分けがつきません。

架空料金請求詐欺対策
高齢者が架空料金請求詐欺に騙されないようにするには、身に覚えのない請求はすべて無視することです。
電話がかかってきたら、電話番号を記録して警察に通報してください。

また無視することでほとんど被害は発生しません。

まとめ

今回は生成AIを悪用し、高齢者を狙うフィッシング詐欺と特殊詐欺の対策ガイドについてご紹介しました。
生成AIを悪用したフィッシング詐欺や特殊詐欺は、その巧妙さと規模において、かつてないレベルに達しています。
そして現在、高齢者がそのターゲットにされています。

ぜひ、本ガイドを最大限に活用し、フィッシング詐欺や特殊詐欺の被害防止の一助となれば幸いです。

 

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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