ネット証券と対面証券、シニア世代にはどっちが合う? 手数料と安心感を天秤にかける
「新NISAを始めたいけれど、スマホで操作するのは不安だわ」 「駅前の証券会社なら、担当者が親切に教えてくれるんじゃない?」
老後資金の運用を考える際、シニア世代が最初にぶつかる壁が「金融機関選び」です。
手数料が安いと評判の「ネット証券」か。 それとも、歴史があり担当者と直接話せる「対面証券(大手証券や銀行)」か。
結論から申し上げますと、「この記事をスマホやパソコンで読めているあなた」であれば、迷わずネット証券を選ぶべきです。
なぜなら、対面証券の「安心感」には、資産運用において致命的となりかねない「高額な維持コスト」と「営業リスク」が含まれているからです。
この記事では、シニア世代が直面する「デジタルへの不安」と「コストの重み」を天秤にかけ、あなたの大切な退職金を守るための正しい金融機関の選び方を解説します。
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1. 決定的な差! 「手数料」という名の入場料
まず、最も分かりやすい「お金」の話から始めましょう。 同じ投資信託(ファンド)を買うにしても、どこで買うかによって、スタートラインが全く異なります。
ネット証券:購入手数料「0円」が当たり前
SBI証券や楽天証券などの主要ネット証券では、新NISAで扱う投資信託のほとんどが「ノーロード(購入時手数料無料)」です。 100万円投資したら、100万円全額が運用に回ります。
対面証券:購入手数料「3.3%」が標準
一方、大手証券会社や銀行の窓口で相談して買うと、多くの商品で「購入時手数料 3.3%(税込)」がかかります。 100万円投資したら、最初に3万3,000円が引かれ、96万7,000円からスタートします。
【シミュレーション】 退職金1,000万円を投資する場合
ネット証券: 手数料 0円
対面証券: 手数料 33万円
いきなり33万円の損です。 運用で33万円の利益を出すには、年利3%でも1年かかります。対面証券を選んだ瞬間、あなたは「1年分の利益」をドブに捨ててスタートすることになるのです。
2. 「担当者がいる」ことはメリットか、リスクか?
「でも、手数料が高くても、プロのアドバイスがもらえるなら安心料じゃない?」 そう思うかもしれません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
対面証券のビジネスモデル=「売買させること」
対面証券の担当者(営業マン)には、厳しい「ノルマ」があります。 彼らが給料をもらうためには、顧客に商品を売買させ、手数料を稼がなければなりません。
そのため、シニア世代に対して以下のような営業が行われるリスクがあります。
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回転売買(かいてんばいばい): 「利益が出ましたね。一度売って、こちらの新しい流行の商品に乗り換えましょう」と頻繁に売買させ、その都度手数料を取る。
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高コスト商品の提案: お客様の利益(インデックスファンド)よりも、会社が儲かる商品(複雑な仕組み債や、信託報酬が高いファンド)を勧める。
担当者の笑顔や親切な言葉は、あくまで「営業トーク」である可能性が高いのです。 「相談できる安心感」の裏には、「カモにされるリスク」が潜んでいることを忘れてはいけません。
3. シニアが「ネット証券」を選ぶべき条件
とはいえ、「ネット証券は操作が難しそう」という不安はもっともです。 しかし、最近のネット証券はシニア層の取り込みに必死で、画面やサポートが劇的に使いやすくなっています。
以下の3つのチェックリストに当てはまるなら、あなたはネット証券を使えます。
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スマホで「LINE」や「メール」ができる。
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ATMでお金を引き出したことがある。
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わからないことがあったら、電話で問い合わせるのが苦ではない。
「電話サポート」を活用しよう
ネット証券にも「コールセンター」があります。 特に松井証券などは、シニア向けの電話サポート(パソコン画面を共有しながら教えてくれるサービスなど)に力を入れています。 「対面」ではありませんが、「人」と話しながら操作することは可能なのです。
4. それでも「対面」が良い人の条件
逆に、ネット証券を絶対に避けるべきなのはどんな人でしょうか。
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スマホやパソコンを全く持っていない、または極端に苦手。
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パスワードの管理が絶対にできない。
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認知機能に不安があり、画面の文字を読むのが辛い。
このような場合は、無理にネット証券を使うと、パスワードロックがかかったり、操作ミスで誤発注したりするリスクがあります。 手数料が高くても、「対面証券」や「地元の銀行」を利用し、「高い手数料は、窓口で手続きしてもらうための代行料」と割り切って使うのが正解です。
ただしその場合も、「言われるがままに買わない(一度持ち帰る)」という鉄の掟を守ってください。
5. シニアのための「ネット証券」活用テクニック
「ネット証券にする!」と決めたシニア世代におすすめの、安全な運用体制の作り方を紹介します。
① 「家族」を巻き込む
もしお子様がいらっしゃるなら、口座開設や初期設定だけ手伝ってもらいましょう。 「パスワード管理」や「設定」は子供に任せ、日々の残高確認だけ自分でやる。これならハードルは下がります。
② 認知症対策サービスの利用
SBI証券や楽天証券には、「家族(代理人)の登録制度」があります。 これに登録しておけば、万が一ご本人が認知症などで判断能力が低下した場合でも、あらかじめ登録した家族が代わりに売却手続きなどを行えます。 「ネット証券は認知症になったら凍結される」というのは過去の話になりつつあります。
③ 「IFA(独立系アドバイザー)」という選択肢
「ネット証券の手数料の安さ」と「対面の相談」の良いとこ取りをしたいなら、「IFA」を利用する手があります。 SBI証券や楽天証券と提携しているIFA(ファイナンシャルプランナーのような人)を通せば、ネット証券の口座を使いながら、担当者のサポートを受けられます。 ※ただし、IFA経由だと独自の手数料がかかるコースがあるため、コスト確認は必須です。
まとめ:その「安心」は高すぎる
厳しい言い方になりますが、銀行や対面証券の窓口で、 「私、投資のことはよく分からないので、おすすめを教えてください」 と言うのは、 「私の財布から、好きなだけ手数料を抜いてください」 と言っているのと同じです。
シニア世代の大切な資産は、手数料を払うためではなく、ご自身の豊かな老後のためにあります。
「ネット証券」は、決して若者だけのものではありません。 今や60代、70代の利用者は急増しています。
食わず嫌いをせず、デジタルの扉を少しだけ開いてみてください。 そこには、無駄なコストを払わず、営業マンに惑わされることもない、本当の意味での「安心できる資産運用」が待っています。
