シニア世代に知ってほしい!生命保険にかかる税金について詳しく解説
生命保険の死亡保険金やその他の給付金を受け取った際には、所得税・贈与税・相続税が課税される場合があります。
保険金の種類によっても異なりますが、課税区分は契約者・被保険者・受取人の関係性によって変わってきます。
今回の記事ではシニア世代に知っておいてほしい生命保険に関してどんな税金があり、課税されるパターンなどを紹介していきます。
保険金・給付金を受け取る際の税金とは?
保険金・給付金を受け取るときには、税金がかかる場合があります。課税される税金は「所得税・住民税」「相続税」「贈与税」のいずれかで、どの税金の対象になるかは「保険金などの種類(死亡保険金・満期保険金・年金)」や「契約形態(契約者・被保険者・受取人の関係)」によって異なります。
生命保険の契約者、被保険者、受取人とは?
課税対象である保険金・給付金受取りの場合、税金の種類は契約者、被保険者、受取人の関係性等によって変わります。契約者、被保険者、受取人がそれぞれどのような人を指すのか確認しておきましょう。
契約者
契約者とは、保険会社と保険契約を結んでいる人のことです。保険料の払込みを行い、契約内容等を変更する権利を持ちます。
被保険者
被保険者とは、保険の対象になる人、つまり保険がかけられている人のことです。生命保険の保障は、被保険者の生死や病気、ケガ等が対象になります。例えば、死亡保険金の場合は、被保険者が亡くなることによって受取人に保険金が支払われます。
受取人
受取人とは、生命保険の保険金や給付金を受取る人のことです。受取人と契約者や被保険者が同じケースもあれば、違うケースもあります。ただし、死亡保険金は被保険者が亡くなった後に支払われるので、受取人と被保険者を同一人物にすることはできません。
生命保険の死亡保険金に発生する税金は3種類
以下、それぞれの税金が課税されるケースについてみていきたいと思います。
所得税が課税される場合
生命保険の契約者と受取人が同じで、被保険者が別の人である場合は、受取人に所得税がかかります。例えば、夫が妻を被保険者として生命保険に加入し、夫が受取人となっている場合等です。この場合、死亡保険金は夫の一時所得とみなされ、所得税の課税対象になります。
相続税が課税される場合
契約者と被保険者が同じで、受取人が違う場合は、亡くなった人が生前自分で保険料を払込み、遺族に死亡保険金が支払われるようなケースです。この場合は、受取人に支払われる死亡保険金に相続税が課税されます。
実は民法上において、支払われた保険金は相続財産とはされません。しかし、相続税法では、亡くなった人が保険料を負担し、その死亡によって保険金が支払われることから、実質的な相続財産(みなし相続財産)として扱われます。
なお、生命保険の死亡保険金には、相続人が受取る場合のみ「500万円×法定相続人数」の非課税枠があります。
贈与税が課税される場合
契約者、被保険者、受取人がそれぞれ違う場合、受取人に支払われた死亡保険金は、贈与税の課税対象になります。例えば、契約者が夫、被保険者が妻、受取人が子どもといった場合です。この場合は死亡保険金が子どもへの贈与とみなされ、贈与税がかかります。
満期保険金に課税される税金について
生命保険の満期保険金や祝金は、契約者本人が受取るのか、もしくは契約者以外の人が受取るのかによって税金の種類が変わってきます。それぞれの場合を見ていきましょう。
「契約者(保険料負担者)」と「受取人」が同じ人の場合
契約者と受取人が同じ場合は、受取った満期保険金や祝金に所得税がかかります。満期保険金等を一時金として受取った場合は「一時所得」、年金として数年間にわたって毎年受取る場合は「雑所得」となり、それぞれ所得税が課税されます。
「契約者(保険料負担者)」と「受取人」が違う人の場合
契約者と受取人が違う場合は、受取った満期保険金や祝金に贈与税がかかります。生命保険の契約者から受取人への贈与とみなされ、所得税ではなく贈与税の課税対象となります。
個人年金保険を受け取る際の税金は?
個人年金保険で年金を受け取る際にかかる税金の種類も契約者(保険料負担者)、被保険者、年金受取人のパターンによって変わります。個人年金保険にかかる税金については別記事で詳しく解説しているので、そちらをご参照ください。
死亡保険金の税負担を軽減する制度
死亡保険金の目的は、被保険者の死亡後、遺族の生活を保障することです。そのため、死亡保険金が相続税の対象になる場合でも、税負担を軽減する次のような非課税枠が設けられています。
死亡保険金の非課税枠
生命保険の死亡保険金には、一定額までの非課税枠があります。死亡保険金の受取人が相続人である場合に限り、「500万円×法定相続人の数=非課税限度額」となります。
相続税の基礎控除
相続税には、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の基礎控除があります。相続した財産が、この基礎控除額以下であれば、相続税の申告は原則不要です。
支払われた死亡保険金が上述した非課税枠よりも多かった場合、死亡保険金から非課税限度額を差し引いた金額とその他の相続財産を合算し、遺産総額を求めます。相続税の計算では、遺産総額からこの基礎控除が差し引かれます。
配偶者における相続税の軽減制度
亡くなった人の配偶者が受取人の場合は、配偶者の税額軽減という制度が適用されます。この軽減制度が適用されると、配偶者が受取る相続財産の総額が1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のどちらか多いほうの金額までは相続税がかかりません。
ただし、配偶者の税額軽減を適用するには、相続税の申告期限までに遺産分割を確定している必要があります。
まとめ
生命保険の保険金には、所得税や贈与税、相続税といった税金がかかることがあります。自分が加入している保険について、保険金を受け取った場合にどのような税金がかかるのか、あらためて確認しておきましょう。
例えば、被保険者の同意があれば、受取人を変更することで、非課税枠を利用して税負担を軽減できる場合があります。受取人などを変更したい場合は、加入している保険を取り扱っている生命保険会社に相談してみてください。