相続争い(争族)になりやすい家庭の特徴ワースト5! 資産の多寡は関係なかった
「うちは資産家じゃないから、相続争いなんて関係ないよ」 「兄弟の仲も良いし、きっと話し合いで上手くいくはずだ」
もし今、そう思っているとしたら、黄色信号が灯っています。
実は、家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブル(遺産分割調停)のうち、約75%以上が「遺産総額5,000万円以下」の家庭で起きているという衝撃的なデータがあります。さらに言えば、そのうち約3割は「1,000万円以下」です。
つまり、相続争い(争族)は、大富豪の豪邸で起きるものではなく、ごく普通の一般家庭でこそ頻発しているのです。
なぜ、お金持ちではない家庭の方が揉めるのか? それは、「分けられる現金が少なく、分けられない不動産(実家)がメインだから」です。
この記事では、資産の額に関係なく「争族」に発展しやすい家庭の特徴を、ワーストランキング形式で5つ紹介します。ご自身の家庭が当てはまっていないか、チェックしてみてください。
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ワースト5位:生前の援助額に「偏り」がある家庭
「長男には、家を建てる時に頭金を出してやった」 「次男は、私立の医学部に行かせてやった」 「長女には、結婚式の費用を全額出した」
親心としては「その時必要な子に、必要な援助をしただけ」かもしれません。しかし、子供たちの記憶は驚くほどシビアです。
親が亡くなり、いざ遺産分けという段階になった時、援助を受けてこなかった子供(あるいは少なかった子供)から、必ずと言っていいほどこの言葉が出ます。
「お兄ちゃんは昔、家のお金をもらったじゃない! その分は今回差し引くべきよ(特別受益の主張)」
親が「誰にいくら渡したか」を記録せず、曖昧なまま(どんぶり勘定)にしておくと、子供同士の疑心暗鬼を生み、「もらいすぎだ」「いや借りただけだ」という泥沼の論争に発展します。
ワースト4位:配偶者(夫・妻)の口出しが激しい家庭
相続人である兄弟姉妹の仲は悪くないのに、なぜか話がこじれる。 その背後には、「配偶者」という強力な第三者の存在があるケースが多いです。
お盆や正月に集まる時は笑顔でも、いざ相続となると、それぞれの配偶者が家庭内でこう囁きます。
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「あなた、長男なんだからもっと主張しなさいよ」
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「うちにはこれから子供の教育費がかかるのよ。もらえるものは1円でも多くもらってきて」
これを「外野からのシュプレヒコール」と呼びます。 特に、親の介護に参加していなかった配偶者が権利だけを主張する場合、介護をしていた側の怒りは頂点に達します。兄弟喧嘩というよりは、「家対家」の戦争になってしまうのです。
ワースト3位:兄弟姉妹の仲が「疎遠」である家庭
「弟とはもう何年も会っていない。連絡先もよく知らない」 「姉とは性格が合わず、お盆の帰省時期もずらしている」
普段からコミュニケーションが取れていない兄弟姉妹が、親の葬儀で久しぶりに顔を合わせ、いきなり「お金の話」をして、上手くいくはずがありません。
疎遠であるということは、「相手の生活状況や経済状況を知らない」ということです。 相手が困っているのか、余裕があるのか分からないため、譲り合いの精神が生まれず、お互いに「法定相続分(法律で決まった取り分)」を機械的に主張し合うことになります。
感情的な繋がりが希薄なため、一度対立すると修復が効かず、すぐに弁護士を立てて争う事態になりやすいのが特徴です。
ワースト2位:特定の子供だけが「介護」を負担した家庭
これは、現代の日本で最も深刻かつ感情的な対立を生むパターンです。
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姉: 仕事を辞めて、親と同居して5年間寝たきりの介護をした。
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弟: 盆正月に顔を出すだけで、介護はノータッチだった。
親が亡くなった後、弟が「法律通り、遺産は半分ずつ(2分の1)だ」と主張したらどうなるでしょうか? 姉が「ふざけないで! 私の5年間の苦労はどうなるの?(寄与分の主張)」と激怒するのは当然です。
しかし、法律(民法)は冷酷で、介護の苦労を金額に換算して上乗せすることは、非常に高いハードルがあります。 「やった側」の報われない怒りと、「やらなかった側」の権利主張。この「感情の温度差」が、決定的な亀裂を生みます。
ワースト1位:主な財産が「実家(不動産)のみ」の家庭
堂々のワースト1位は、これです。 「うちは財産なんて、このボロ家と、雀の涙ほどの貯金しかないから大丈夫」
これが一番危険なセリフです。
遺産総額2,000万円。その内訳が「実家1,500万円、預金500万円」で、子供が2人(兄・弟)いたとします。 法定相続分は1,000万円ずつですが、どうやって分けますか?
家を真っ二つに切ることはできません。 兄が家を継ぐなら、兄は弟に「代償金」として500万円を現金で渡さなければなりません(実家1,500万+預金500万=2,000万。半分は1,000万。兄は預金500万をもらっても、あと500万足りないため、自腹を切る必要がある)。
しかし、兄にそんな現金の用意がなければ? 「家を売って現金を分けるしかない(換価分割)」か、「家を共有名義にする(問題の先送り)」しかありません。
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兄:「思い出の実家を守りたい!」
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弟:「俺は家なんていらないから、現金をくれ!」
この対立が、一般家庭で最も多く起きている「争族」の典型例です。現金が潤沢にある資産家よりも、「分けられない財産」しかない一般家庭の方が、解決の選択肢が少ないのです。
争族を避けるための「親の責任」とは?
ここまで読んで、「うちも危ないかも…」と感じた方もいるかもしれません。 しかし、解決策はあります。それは「親が元気なうちに手を打つこと」です。
1. 「遺言書」を書く(最強の解決策)
「財産はこう分ける」と親が指定しておけば、原則として子供たちはそれに従います。「家は長男に、その代わり生命保険金を次男に」といった調整が可能です。 特に「子供の仲が悪い」「介護をしてくれた子が特定されている」場合は、遺言書は必須と考えてください。
2. 生前に家族会議を開く
「この家はどうしたい?」「誰が継ぐつもりだ?」と、タブー視せずにオープンに話し合うことです。親の目の前で「俺は金がいい」と露骨に言う子供は少ないもの。親の想いを直接伝えることで、死後の暴走を防げます。
3. 「代償金」の準備をしておく
家を継がせる子供に、他の兄弟に渡すための現金を生命保険などで用意してあげる方法です。これがあれば、実家を売らずに済みます。
まとめ:資産が少ないからこそ、準備が必要
「遺産争い」のニュースを見るたび、「お金持ちは大変だな」と思っていたかもしれません。 しかし現実は、「分けられる現金がない家庭」ほど、骨肉の争いになりやすいのです。
「きょうだい仲良くやってくれ」 その言葉だけで解決できるほど、相続は甘くありません。
もしあなたが、子供たちに「争い」ではなく「絆」を残したいと願うなら。 「うちは大した財産がないから」という言葉を飲み込み、「財産が分けにくいからこそ、私が決めておかなければ」と意識を変えてください。
それができるのは、子供たちではなく、財産を築き上げたあなただけなのです。
