相続した家が空き家になった場合のデメリットと対処法は?
親から空き家になっている物件を相続してどうすべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
空き家は適切に管理しないと、周囲に悪影響を及ぼし、損害賠償を請求されるリスクもあります。
本記事では、相続した不動産が空き家になった場合の管理方法や、放置するデメリット、空き家にしないための解決策について解説します。
相続した建物が空き家になった時の管理方法
親から相続した不動産の扱いについて、すぐに使用する予定がなく、空き家になる場合には以下の点に注意して管理するようにしましょう。
・定期的に換気する
湿気がたまると、家全体の老朽化につながる可能性があるので、少なくとも月1回はすべての部屋の窓を開けて換気を行いましょう。
・定期的に通水を行う
長期間使用されない水道管はサビやつまりの原因となり、水道管が破裂してしまう可能性もある。最低でも月1回はすべての水栓を開けて水を流しましょう。
・掃除をする
屋内に埃が溜まるとダニやカビ、害虫の発生原因になるので定期的に掃除をしましょう。庭付きの物件なら庭の除草や枝切りなどを行いましょう。
・雨漏りや外壁のひび割れチェック
壁紙や天井にシミや剥がれが無いか確認する。ある場合は専門業者に依頼して修繕しましょう
空き家の管理は、1か月に1回程度おこなうことをおすすめしますが、遠方に住んでいる場合、定期的に管理に訪れるのは難しいでしょう。
そのような場合は、費用はかかりますが、「空き家管理サービス」に管理を委託するのもおすすめです。
相続した建物を空き家状態で放置するデメリット
空き家を相続した所有者には管理義務がありますが、そのまま放置してしまう方も少なくありません。
人が住んでいない状態でそのまま放置すると、以下のようなデメリットが生じます。
資産価値の低下
相続した空き家を放置すると、築年数の経過とともに建物の資産価値が落ちてしまうデメリットがあります。一戸建て住宅の資産価値は、築10年で新築時の半分に、築20年でゼロになるとされています。人が住まず手入れもされずに放置された建物の劣化は非常に早く、放置すればするほど資産価値は急速に下落していきます。資産価値を下げないためにはこまめなメンテナンスが不可欠です。
所有者責任を問われる恐れがある
空き家が原因で、隣家に損傷を与えたり、通行人にけがをさせたりした場合、そこに住んでいなくても、所有者責任を問われます。
たとえば、台風で空き家の瓦が飛んで隣家の窓ガラスが割れた、外壁が崩れて通行人がケガをした場合など法的な責任を問われる可能性があります。とくに築年数の古い空き家は、定期的に安全点検をおこない、必要に応じて補強工事や修理をおこなう必要があるでしょう。
特定空家に指定される可能性がある
特定空家とは、放置すると、治安上・衛生上危険であると行政が判断した空き家のことです。特定空家に指定されると、本来、一般的な住宅用地に適用される税制の優遇措置が受けられなくなり、固定資産税が跳ね上がります。
空き家の状態の改善について、行政からの助言や指導に応じない場合は、行政代執行により解体される場合があり、その解体費用は、すべて所有者負担です。
税金や維持費がかかる
空き家を所有していると、固定資産税や都市計画税がかかります。また、空き家は、所有者に管理やメンテナンスの義務があるため、空き家を相続したら相続の権利がある方全員で維持・管理をしなくてはいけません。前述したように所有者責任に問われるリスクを回避するためにも維持・管理はしっかり行いましょう。
相続した不動産を空き家にしないための解決策
空き家を相続したときはどのように対処するのが適切なのか、対処法として次の3つの方法を紹介します。
①建物を解体する
今後貸し出したり住んだりする予定がない場合は、解体して活用する方法があります。更地にしてから、売却するか駐車場にするかなど、活用方法を考えましょう。
古家がある状態の土地よりも、更地のほうが買い手はつきやすくなります。しかし、解体費用を負担しなくてはいけないデメリットがあります。解体費用の相場は、一般的な木造住宅で100万円以上です。
なお、解体して更地のままにしておく場合は、固定資産税の優遇措置が適用されなくなる点に注意が必要です。
②無償での譲渡
利益を得なくても良いからとにかく早く手放したいという場合は、第三者に無償譲渡するのも選択肢の1つです。
隣地の所有者であれば、土地の面積が広がり活用しやすくなるため、譲渡を受け入れてくれるかもしれません。
ただし、無償譲渡は「贈与」であるため、受け取った側に贈与税が課されますので双方予め理解をしておく必要があります。
③売却する
もっともおすすめなのが、不動産を相続した後に売却することです。
最近は、自分でリフォームやリノベーションをすることを前提に、築年数が古い家を購入する方も増えているため、そのままの状態で買主が見つかる可能性があります。
また、相続や遺贈によって取得した不動産を売却する場合、相続の開始があった日から3年を経過する年の12月31日までに売却すれば、譲渡所得から最高3,000万円の控除を受けられます。
空き家を相続したら相続登記が必要
空き家を相続したら、できるだけ早く法務局(登記所)で相続登記をしましょう。相続登記とは、相続する不動産を名義変更し、不動産の権利を第三者に対して明らかにすることです。相続登記をしないと売却や解体はできません。相続登記は令和6年4月から義務化され、3年以内に相続登記しないと10万円以下の過料が課されるため、注意が必要です。
まとめ
空き家は放置すると、特定空き家に指定されたり資産価値が低下したりと、さまざまなデメリットが生じます。
リスクを回避するには、空き家を定期的に訪問して、適切な管理をおこなわなければなりません。
活用予定のない不動産に維持管理費を支払続けるのは大きな負担となるため、できる限り早めに手放すことをおすすめします。