年金生活者支援給付金とは? 年金が少ない人が受け取れる上乗せ給付の条件
【年金生活者支援給付金とは? 年金が少ない人が受け取れる上乗せ給付の条件】
「物価ばかり上がって、年金だけでは生活が苦しい」 「毎月のやりくりがギリギリで、楽しみにお金を使う余裕なんてない」
インフレが続く中、限られた年金収入だけで暮らすシニア世代にとって、家計の悩みは尽きません。 そんな中、実はあなたが「もらい忘れているお金」があるかもしれないことをご存知でしょうか?
その名は、「年金生活者支援給付金」。
これは、消費税率が10%に引き上げられた2019年に始まった制度で、年金収入が少ない人を対象に、年金に上乗せして恒久的に支給される給付金です。 一時金ではありません。生きている限り、条件を満たせばずっと受け取れる「第2の年金」とも言える重要な収入源です。
しかし、この制度には「請求しないと1円ももらえない」という落とし穴があります。
この記事では、月額約5,000円(年間約6万円)の差がつくこの制度の仕組みと、自分が対象になるかのチェックポイント、そして絶対に見逃してはいけない「緑色のハガキ」について解説します。
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1. 年金生活者支援給付金とは?
この給付金は、公的年金などの収入が一定額以下の年金受給者の生活を支援するために、年金に上乗せして支給されるものです。
3つの大きな特徴
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「上乗せ」でもらえる: 老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれかを受給している人が対象です。
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「非課税」である: この給付金自体には税金がかかりません。
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「手続き」が必要: 対象者には日本年金機構から通知が届きますが、返送しないと支給されません。
支給日は、年金と同じく「偶数月の15日」。
年金とは別の名目で、同じ口座に振り込まれます。
2. あなたは対象? 【老齢】給付金の3つの条件
給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類がありますが、最も対象者が多く、条件が複雑なのが「老齢(老齢年金生活者支援給付金)」です。
以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。
条件①:65歳以上で「老齢基礎年金」を受けている
65歳未満の人や、老齢基礎年金をもらっていない人(全額支給停止の人など)は対象外です。
条件②:世帯全員の「市町村民税」が非課税である
ここが最大のハードルです。
あなた自身の収入が少なくても、「住民票上の世帯」に課税されている人(高収入の子供や配偶者)がいると対象外になります。
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一人暮らしで非課税: 〇 対象の可能性大
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息子夫婦(課税)と同居: × 世帯全員が非課税ではないため対象外
※ただし、同居していても「世帯分離(住民票を分ける)」をしていれば、対象になる可能性があります。
条件③:年金収入とその他の所得の合計が「約88万円以下」
正確には、以下の合計額が878,900円以下(令和6年度基準)である必要があります。
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前年の公的年金等の収入金額(※障害年金・遺族年金などの非課税年金は含まない)
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その他の所得金額(給与所得や事業所得など)
「年金が月7万円(年84万円)くらいしかない」という単身の方は、この条件に当てはまる可能性が非常に高いです。
3. いくらもらえる? 金額の目安
「手間をかけて手続きする価値があるの?」と思うかもしれませんが、その答えは「YES」です。
老齢年金生活者支援給付金の額
基準額は、月額 5,310円(令和6年度)です。
ただし、これは「保険料を40年間(480ヶ月)きっちり納めた人」の金額です。
実際の支給額は、以下の計算式で決まります。
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40年納付した人: 月額 約5,310円(年額 約6.4万円)
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30年納付した人: 月額 約4,000円(年額 約4.8万円)
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20年納付した人: 月額 約2,600円(年額 約3.1万円)
※過去に保険料の「免除」を受けていた期間がある場合は、その分も計算式で加算され、少し手厚くなります。
月数千円でも、年間にすればガス代や水道代の数ヶ月分に相当します。老後家計にとっては決して小さくない金額です。
4. 【障害】と【遺族】の給付金はもっとシンプル
「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」を受け取っている方の条件は、老齢よりも緩やかです。
条件
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前年の所得が「472万1,000円以下」であること。
(※扶養親族の数によって増額されます)
これだけです。「世帯全員が非課税」といった厳しい条件はありません。
金額(令和6年度)
こちらは納付期間に関わらず、定額です。
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障害等級1級の方: 月額 6,638円
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障害等級2級の方: 月額 5,310円
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遺族年金の方: 月額 5,310円
5. 絶対に見逃すな! 「緑色のハガキ」
この給付金を受け取るために最も重要なのが、日本年金機構から届く郵便物です。
新たに対象になった人へ
毎年9月頃から順次、「緑色の封筒(またはハガキ)」が届きます。
中に入っている「年金生活者支援給付金請求書」(ハガキ形式)に、氏名などを記入してポストに投函するだけです。
切手も不要。添付書類も基本的には不要です。
このハガキを「怪しいDM」だと思って捨ててしまうと、給付金はもらえません。
必ず中身を確認してください。
すでに受け取っている人へ
手続きは不要です。
来年も条件(非課税など)を満たしていれば、自動的に継続して振り込まれます。
(※条件から外れた場合は「不該当通知書」が届き、支給が止まります)
6. よくある疑問と注意点
Q. さかのぼってもらえる?
A. 原則、もらえません。
請求書(ハガキ)が届いてから放置してしまうと、提出した月の翌月分からの支給になります。「去年から対象だったのに!」と後から気づいても、過去の分は取り戻せません。
ハガキが来たら「即・投函」が鉄則です。
Q. 子どもと同居しているけど、世帯分離すればもらえる?
A. 可能性があります。
同じ家に住んでいても、生計(家計)が別であれば、住民票を分ける「世帯分離」の手続きをすることで、親単独の世帯となり、「非課税世帯」の条件を満たす場合があります。
ただし、これには国民健康保険料への影響などデメリットもあるため、市役所の窓口で慎重に相談する必要があります。
Q. 働いて収入が増えたら止まる?
A. 止まる可能性があります。
パートなどで収入が増え、住民税が「課税」になったり、所得基準(約88万円+年金)を超えたりすると、翌年の給付金は停止されます。
その後、仕事を辞めて再び収入が下がれば、またハガキが届き、再開することができます。
まとめ:それは「もらえる権利」のあるお金です
年金生活者支援給付金は、決して「恵んでもらうお金」ではありません。
消費税増税の負担軽減策として用意された、法律で定められたあなたの正当な権利です。
月5,000円あれば、何ができるでしょうか。
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孫にお小遣いをあげられる。
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スーパーで果物を買える。
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友人とランチに行ける。
心のゆとりを作るための大切なお金です。
もし、「年金が少なくて生活が苦しい」と感じているなら、まずはご自宅に「緑色の封筒」が埋もれていないか探してみてください。
そして、これから65歳を迎える方は、年金の手続きをする際に、この給付金のことも頭の片隅に置いておいてください。
