銀行に預けっぱなしの定期預金、解約して国債へ? 金利上昇局面の立ち回り方

「昔、銀行に預けた定期預金、ずっとそのままになっているな……」 「ニュースで『金利のある世界』になったと聞くけれど、私の通帳の数字は全然増えていない気がする」

もし、あなたが数年前に預け入れた定期預金を「放置」しているなら、それは非常にもったいないことをしているかもしれません。

長らく続いた「マイナス金利政策」が解除され、日本もいよいよ金利が上昇する局面に入りました。 これまでの常識だった「どこに預けても金利はゼロ」という時代は終わったのです。

今、この変化の波に乗り遅れず、かつリスクを冒さずに資産を守り増やすための最適解として、「個人向け国債(変動10年)」への乗り換えが注目されています。

「国債? 難しそうだし、元本割れしたら怖い」 そう思う方も多いですが、実は個人向け国債は、銀行の定期預金よりも安全で、かつ金利上昇に強いという特徴を持っています。

この記事では、銀行に眠る「定期預金」を解約してでも国債に移すべき理由と、金利上昇局面における賢い「守りの資産運用」について解説します。

1. 「昔の定期預金」を持ち続けるリスク

まず、なぜ今、銀行の定期預金を見直すべきなのでしょうか。

それは、あなたが持っている定期預金が「固定金利(こていきんり)」の罠にはまっている可能性が高いからです。

「固定金利」はインフレに弱い

数年前に契約した定期預金は、当時の「超・低金利(年0.002%など)」で固定されています。

たとえ今、世の中の金利が上がってきても、あなたの定期預金の金利は満期が来るまで低いままです。

物価が上がり(インフレ)、世の中の金利が上がっているのに、自分の資産だけが増えない。

これは実質的に、「資産の価値が目減りしている」のと同じことです。

0.002%と0.5%の違い

仮に1,000万円を預けていたとします。

  • 金利 0.002%(昔の定期): 年間の利息は 200円(税引前)

  • 金利 0.50%(最近の国債など): 年間の利息は 50,000円(税引前)

その差は歴然です。

「解約するのは面倒」と放置しているだけで、毎年数万円単位の「もらえるはずだったお金(機会損失)」を捨てていることになるのです。


2. 乗り換え先の主役「個人向け国債・変動10年」とは?

そこで乗り換え先として強くおすすめしたいのが、日本政府が発行している「個人向け国債(変動10年)」です。

国債には「固定3年」「固定5年」「変動10年」の3種類がありますが、金利上昇局面で選ぶべきは「変動10年」一択です。

「変動金利」こそが最強の武器

「変動10年」の最大の特徴は、半年ごとに適用される金利が見直される(変わる)ことです。

  • 世の中の金利が上がる → 国債の金利も自動的に上がる

  • 世の中の金利が下がる → 国債の金利も下がる(ただし0.05%は保証)

つまり、これを買っておけば、今後日銀が利上げを行い、金利がどんどん上がっていく局面になっても、自動的にその波に乗って受取利息が増えていくのです。

銀行の「固定金利定期預金」では、この恩恵を受けられません。


3. 銀行預金 vs 個人向け国債 徹底比較

「でも、国債って元本割れするんでしょ?」

「銀行の方が安全じゃないの?」

ここには大きな誤解があります。わかりやすく比較してみましょう。

項目 銀行の定期預金 個人向け国債(変動10)
安全性 ペイオフ(1,000万円)まで 上限なし(国が保証)
元本割れ なし なし(※)
金利タイプ 固定(契約時のまま) 変動(半年ごとに見直し)
中途解約 いつでも可 原則1年は不可
最低金利 なし(ほぼ0に近い) 0.05%保証

※個人向け国債は、市場で売買される国債とは異なり、国が元本を保証しているため、価格変動による元本割れはありません。

実は銀行より「安全」

銀行預金には「ペイオフ」という制度があり、万が一銀行が破綻した場合、保証されるのは「元本1,000万円とその利息まで」です。

一方、個人向け国債は「日本国」が破綻しない限り、元本と利息が保証されます。そして金額の上限もありません。

「日本円」で資産を持つ以上、国債は銀行預金と同等、あるいはそれ以上に安全な資産と言えます。


4. 定期預金を「中途解約」しても損はしない?

「定期預金を途中で解約すると、違約金を取られるのでは?」

と心配される方がいますが、基本的に定期預金に「元本を削られるペナルティ」はありません。

あるのは、「中途解約利率」の適用だけです。

これは、「約束より早く解約したから、高い金利はあげないよ。その代わり、最初から『普通預金の低い金利』で預けていたことにして計算し直すね」というルールです。

もともとの金利が「0.002%」のような超低金利であれば、普通預金金利(0.001%)になっても、痛くも痒くもありません。

数百円〜数千円の利息が減る程度です。

そのわずかな利息を惜しんで、今後もらえるはずの「年率0.5%〜(数万円)」を棒に振る方が、よほど大きな損失です。

ためらうことなく解約してOKです。


5. 「変動10年」を買う時の2つの注意点

メリットばかりに見える個人向け国債ですが、知っておくべきデメリット(制約)が2つあります。

注意点①:最初の1年間は解約できない

これが最大のネックです。

個人向け国債は、発行から1年間は原則として換金(解約)できません。

(※口座名義人が亡くなった場合や、災害時などの特例を除く)

そのため、「来月使うかもしれないお金」や「全財産」を入れてはいけません。

「少なくとも1年は絶対に使わないお金」だけを移すようにしてください。

注意点②:中途解約時は「直前2回分の利息」を返す

1年経てばいつでも解約でき、元本は全額戻ってきます。

ただし、ペナルティとして「直前2回分(過去1年分)の受取利息(税引後)」が差し引かれます。

「元本から引かれる」のではなく、「もらった利息を返す」だけなので、元本割れはしません。

「1年以上預ければ、いつ解約しても元本は守られる」。この安心感は大きいです。


6. 具体的な「乗り換え」ステップ

では、実際に行動に移すための手順を整理しましょう。

  1. 「使わないお金」を仕分ける

    今の貯金のうち、当面(1年以上)使う予定のない金額を決めます。これを国債購入資金とします。

  2. 定期預金を解約する

    銀行の窓口、またはネットバンキングで定期預金を解約し、普通預金に戻します。

  3. 証券会社(または銀行)で国債を買う

    個人向け国債は、銀行、証券会社、郵便局など、ほとんどの金融機関で購入できます。

    ※おすすめは「ネット証券(SBI証券や楽天証券など)」です。銀行窓口に行くと、国債ではなく手数料の高い「投資信託」や「外貨建て保険」を勧誘されるリスクがあるからです。ネット証券なら、誰にも邪魔されず国債だけを買えます。

    ※また、金融機関によっては「国債購入キャンペーン」で現金をキャッシュバックしていることもあります。


まとめ:お金にも「春」を知らせてあげよう

長い冬の時代(マイナス金利)が終わり、金利のある世界が戻ってきました。

しかし、あなたの定期預金だけが「冬眠」したままだと、インフレという環境変化に適応できず、資産価値はじわじわと痩せ細ってしまいます。

  • 銀行より安全性が高い。

  • 金利上昇に合わせて、利息も増える。

  • 1年経てば元本割れなしで解約できる。

この条件を備えた「個人向け国債(変動10年)」は、投資が怖い人にとっての「最強の貯金箱」です。

まずは、通帳と印鑑を持って銀行に行き(あるいはスマホを開き)、眠っている定期預金を揺り起こしてあげましょう。

それが、あなたの大切な資産を守るための、最初の一歩です。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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