シニア世代が注目している少額短期保険(ミニ保険)とは?

近年「少額短期保険」が注目を集めています。「ミニ保険」や「少短」とも呼ばれ、特殊なケースでかかる金銭を保障します。保障の内容により契約者層が大きく異なりますが、シニア世代に注目されているのは葬式代などに備える生命保険(通称・葬儀保険)です。
今回は、少額短期保険とはどういうものかや、メリットデメリットを交えながら解説していきます。

保険のイメージ画像

少額短期保険(ミニ保険)とは?

少額短期保険とは、保険金額が生命保険分野では300万円、損害保険分野では1000万円と、上限が定められた保険商品のことを指します。また保険期間が1年または2年以内と短期間であることが特徴です。

種類が豊富で、一般の生命保険にもある「死亡保険」や「医療保険」といったものから、葬儀保険やスマートフォン保険、ペット保険のような幅広い種類の保険があります。

保険料の安さが魅力であるため加入のしやすく、保険期間が短期であることから保険の見直しのしやすさがあるのも特徴です。

少額短期保険の保険金額上限

区分 保険金額の上限
死亡保険 300万円
医療保険(傷害疾病保険) 80万円
疾病等を原因とする重度障害保険 300万円
傷害を原因とする特定重度障害保険 600万円
傷害死亡保険 300万円(調整規定付き傷害死亡保険の場合は、600万円)
損害保険 1,000万円
低発生率保険 1,000万円

少額短期保険会社と一般保険会社との違い

少額短期保険と一般的な生命保険・損害保険には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
少額短期保険は掛け捨て型の保険のみを取り扱っており、貯蓄型の保険は取り扱いがありません。

  少額短期保険業者 保険会社
資格 財務局による登録制 金融庁による免許制
生保・損保の取り扱い 同時取扱い可 同時取扱い不可
保険金額・保険期間 制限あり 制限なし
事業規模 年間収入保険料
50億円以下
制約なし
最低資本金 1,000万円以上 10億円以上
契約者保護 保険契約者保護機構の対象外 保険契約者保護機構の対象

少額短期保険のメリット

いざというときのリスクに保険料を抑えて備えられる

少額短期保険は、保険料を抑えたうえで、いざというときのリスクに備えられる点が大きなメリットです。商品によっては月額数百円ほどで加入できるなど、保険金額が少額に抑えられている分、保険料も手ごろになっています。商品ラインナップも充実しており、必要な備えに合わせて適した商品を選択できます。

加入済みの保険の補完になる

すでに加入している保険を補完するために、少額短期保険を活用することができるのもメリットのひとつです。一般的な生命保険や損害保険の場合、必要な保障(補償)を追加しようとすると特約を付加したり、契約内容そのものを見直したりしなくてはなりません。保障(補償)を手厚くすればその分保険料も高くなる傾向があるため、契約内容の見直しをためらってしまうこともあるでしょう。

一方、少額短期保険であれば必要な保障(補償)の分だけ手軽に追加できます。たとえば、妊娠・出産時に特有のリスクに備えたり、自動車保険でカバーされていないタイヤのトラブルに備えたりするために、少額短期保険を活用することも可能です。

必要なときだけ加入することもできる

少額短期保険は、保険料を抑えて加入できるため、必要なときだけ活用できる点がメリットです。たとえば、夏場に屋外で仕事をする際に熱中症のリスクに備えられる保険に加入したり、登山の予定がある場合に遭難時の捜索や救助費用に備える保険を活用したりすることも可能です。

少額短期保険の多くはインターネットで加入手続きが完了するため、必要なタイミングで手軽に加入できます。一過性のリスクに備えられる点は、少額短期保険のメリットのひとつです。

こまめに見直せる

少額短期保険の保険期間は、死亡保険や医療保険であれば1年、損害保険であれば最長2年のため、保障(補償)内容をこまめに見直せる点もメリットといえます。以前は必要だった備えが不要になったり、反対に備えておきたいリスクが新たに生じたりする場合には、1年または2年ごとに見直すことが可能です。

一般的な生命保険の場合、一度加入するとライフステージの大きな変化がない限り、見直す機会は多くありません。結果として必要性の低い特約が付帯したままになっていたり、保険金額が適切に設定されていなかったりする可能性もあります。少額短期保険であれば、更新の時期ごとに見直すことで適切な保障(補償)内容を維持しやすいでしょう。

少額短期保険のデメリット

保障(補償)内容や期間が限定される

少額短期保険の保障(補償)内容や期間が限定されることは、デメリットのひとつといえます。たとえば、スマートフォン保険は、国内での故障や破損、盗難などの補償が対象で、海外では補償対象外のケースもあります。

保険期間に関しても、1年または2年以内の短期間に限定されています。更新時にはその時点での年齢などによって保険料が再計算されるため、条件によっては保険料が上がる場合もあるでしょう。長期間にわたってリスクに備えたい方にとっては、保障(補償)内容や保険期間が限られていることはデメリットになります。

掛け捨て型の保険のみ

少額短期保険は掛け捨て型の保険のみで、解約返戻金や満期保険金がないため、貯蓄や資産形成を目的に保険加入を検討している方にとってはデメリットとなりかねません。

保険契約者保護機構の対象外

少額短期保険には通常の生命保険や損害保険と違い「保険契約者保護機構」の補償の対象外なため、保険会社が経営破綻した場合の補償が受けられないなどのデメリットがあります。

生命保険料控除や地震保険料控除の対象にはならない

少額短期保険の保険料は、生命保険料控除や地震保険料控除の対象外という点もデメリットといえるでしょう。少額短期保険は、所得控除が受けられないため、税制上の優遇措置は適用されません。

少額短期保険の主な種類

ペット保険:ペットのケガや病気の治療費に備えることができます。ペットには公的医療保険がないため、動物病院の治療費は全額自己負担となってしまいます。ペットの手術や入院費用に備えたい場合に良いでしょう。

葬儀保険:自身が死亡した場合の葬儀費用として備えることができます。

弁護士保険:日常生活のトラブルが発生した場合に弁護士に相談する際の弁護士相談費用として備えることができます。

自転車保険:自転車を走行中の事故に備えることができます。事故を起こし、相手方にケガをさせてしまった際、数千万円単位の賠償金を支払うリスクがあります。自転車保険に加入することで「もしも」のときに安心です。

モバイル保険:スマートフォンが故障した場合に修理費用として補填してくれる保険です。通信会社にもある補償サービスより保険料が安い傾向にあります。スマートフォンの故障が心配な方におすすめです。

まとめ

少額短期保険について通常の保険との違いや種類、特徴などを解説してきました。
少額短期保険は種類も増えてきており、保険料の安さから手軽に入れて見直しのしやすさなどが特徴の保険です。

また特定のことに特化した少額短期保険もあり、日常生活を送る上で考えられるあらゆるリスクに対応できます。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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