改正不動産登記法が4月1日に全面施行!何が変わる?
2026年4月1日。不動産を持つすべての人にとって、カレンダーに大きな赤丸をつけておくべき日がやってきます。 2024年から始まった「相続登記の義務化」に続き、いよいよ「住所・氏名変更登記の義務化」が全面施行されます。
これまで「引っ越したけど、登記はそのままでもいいか」と後回しにしていた方も、これからは「放置=過料(罰金)」のリスクを背負うことになります。
特に、自宅以外に親から継いだ実家や土地を持っている40代〜70代の方々にとって、この法改正は「知らなかった」では済まされない大きな転換点です。
本記事では、改正不動産登記法の全面施行によって何が変わるのか、私たちが今すぐ確認すべきポイントを詳しく解説します。
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2026年4月、不動産登記の「猶予」が消える
不動産登記法の改正は段階的に進められてきましたが、2026年(令和8年)4月1日をもって、いよいよ住所や氏名の変更登記が「義務」へと格上げされます。
これまでは、不動産を売却する際や銀行融資を受ける際につじつまを合わせれば問題ありませんでしたが、これからは「変わったら即、届け出」がルールです。
改正の3つのポイント
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申請期限:住所や氏名が変わった日から2年以内に申請が必要。
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罰則:正当な理由なく放置した場合、5万円以下の過料が科される可能性がある。
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過去の変更も対象:施行日(2026年4月1日)より前に引っ越した分も義務化の対象になる(遡及適用)。
【注意】過去の引っ越しはどうなる?
2026年4月1日より前に住所が変わっている場合、「2028年(令和10年)3月31日まで」に変更登記を済ませる必要があります。つまり、10年前に引っ越したまま放置している不動産も、あと2年以内に手続きをしなければなりません。
なぜ今、こんなに厳しくなるのか?
背景にあるのは、深刻な「所有者不明土地問題」です。
日本国内には、所有者が分からなかったり、連絡がつかなかったりする土地が九州の面積以上に存在すると言われています。住所変更や相続登記が放置されることで、公共事業が進まない、災害復興が遅れる、空き家が放置されるといった社会的損失が膨らんでいます。
今回の法改正は、いわば「登記簿を常に最新の状態にアップデートし、土地の持ち主をハッキリさせる」ための国家プロジェクトなのです。
面倒な手続きを自動化?「スマート変更登記」とは
「引っ越すたびに法務局へ行くなんて面倒だ」と思う方も多いでしょう。そこで導入されるのが、「スマート変更登記(職権による住所等変更登記)」という新制度です。
これは、法務局が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)などと連携し、所有者の住所変更を自動的に検知して、登記官が職権で情報を更新してくれる仕組みです。
活用するためのステップ
- 事前の申し出:令和7年(2025年)4月21日から可能になる「検索用情報(氏名、生年月日など)」の提供を事前に行っておく。
- 自動更新:以降、引っ越しや結婚で情報が変わると、法務局が自動で登記を書き換えてくれる。
ただし、海外居住者や法人は対象外であることや、売買の予定があるなど急ぎの場合は自分で申請する必要がある点には注意が必要です。
40代〜70代が今すぐ「棚卸し」すべき3つのこと
セッション数を増やし、将来のトラブルを未然に防ぐために、私たちが今できるアクションを整理しました。
① 所有しているすべての不動産を把握する
「自宅の住所変更は済んでいる」という方でも、注意が必要なのが「昔住んでいた家の共有持分」や「親から継いだ山林」などです。2026年2月2日から始まった「所有不動産記録証明制度」を利用すれば、自分が全国に持っている不動産を一覧で取得できるため、この機会に棚卸しを行いましょう。
② 登記簿上の住所が「今の住所」か確認する
手元にある権利証(登記識別情報)や、固定資産税の納税通知書を確認してください。もし、数代前の住所のままになっていたら、2028年3月までの「猶予期間」を待たずに、早めに司法書士へ相談するか、オンライン申請の準備を始めることをおすすめします。
③ 家族で「空き家・空き地」の今後を話し合う
相続登記が義務化され、住所変更も義務化される。これは、「使わない土地を放置するコスト」が上がったことを意味します。負動産(負の資産)にならないよう、売却するのか、寄付するのか、あるいは相続時に「相続土地国庫帰属制度」を利用するのか、家族で方針を共有しておきましょう。
【Q&A】相続登記と住所変更、どっちが先? 知らないと損する登記の新常識
Q1:亡くなった父の「登記簿上の住所」が、最後の住所と違います。先に住所変更が必要ですか?
A:いいえ、亡くなった方の住所変更登記は「不要」です。
相続登記をする際、亡くなった方の「登記簿上の住所」と「死亡時の住所」が異なることはよくあります。この場合、住所変更登記を挟む必要はなく、そのまま直接「相続登記」を申請できます。 ただし、登記簿上の人物と死亡した人物が同一であることを証明するために、住民票の除票や戸籍の附票を提出する必要があります。
Q2:相続した自分自身の住所が、以前の住所のままです。どちらを先にすべきですか?
A:基本的には「住所変更」が先、または「同時」がスムーズです。
もし、あなたが「既に自分の名義になっている不動産」の住所変更をしていないのであれば、2026年4月からの義務化対象となります。 これから相続登記を行う場合で、あなたの現在の住民票の住所と、過去に別の不動産で登録した住所が異なるなら、一気に最新の情報へ更新してしまいましょう。登記の「ズレ」を放置すると、将来売却しようとした時に手続きが非常に煩雑になります。
Q3:相続登記(2024年義務化)と住所変更(2026年義務化)、罰金が怖いのはどっち?
A:どちらも放置は厳禁ですが、「期限」と「金額」が異なります。
・相続登記:相続を知った日から3年以内。放置すると10万円以下の過料。
・住所変更:住所が変わった日から2年以内。放置すると5万円以下の過料。
2026年4月1日からは「住所変更」のカウントダウンも始まります。「相続登記さえすれば安心」と思わず、自分の住所・氏名が正しく登記されているかも必ずセットで確認してください。
Q4:手続きを安く、楽に済ませる「裏ワザ」はありますか?
A:複数の不動産があるなら「一括申請」を検討してください。
同じ法務局の管轄内であれば、複数の土地や建物の住所変更を一つの申請書でまとめて行うことができます。これにより、司法書士に依頼する際の手数料や、自分で行う際の手間を削減できます。
また、2026年4月から本格運用される「マイナンバーを活用した自動更新(スマート変更登記)」の事前申し出をしておけば、今後の引っ越し時の登記漏れを自動で防げるようになります。
Q5:結局、今すぐ何を確認すればいいですか?
A:まずは「固定資産税の納税通知書」をチェックしてください。
通知書に記載されている「所有者の住所」が、今のあなたの住民票と同じでしょうか? もし古い住所のままなら、そこが今回の義務化の対象ポイントです。
特に「数代前の古い住所」のまま放置されている実家などは、2028年3月までの猶予期間(遡及適用の期限)があるうちに、相続登記と併せてプロ(司法書士)に相談することをおすすめします。
まとめ:登記は「権利を守るため」の最強の盾
法改正により「罰則」ばかりが強調されがちですが、登記を最新に保つことは、あなた自身やご家族の権利を確実に守ることでもあります。
いざ売却しようと思ったときに住所が繋がらず、古い住民票や戸籍の附票を取り寄せるのに奔走する……といった苦労を、次の世代に引き継がせないためにも、この「全面施行」を良いきっかけにしたいものです。
不動産登記法改正スケジュールまとめ
・2024年4月1日:相続登記の義務化スタート(期限3年・過料10万円)
・2026年2月2日:所有不動産記録証明制度の開始(自分の土地をリスト化できる)
・2026年4月1日:住所・氏名変更登記の義務化スタート(期限2年・過料5万円)
