固定資産税が安くなる! 築40年超の家を「賢くリフォーム」する補助金活用術

築40年を超えた我が家。「冬は寒いし、地震も心配。でもリフォームはお金がかかるし…」と二の足を踏んでいませんか?

実は、古い家こそリフォームの「宝の山」です。 国や自治体は、古い家の性能を上げるリフォームに対して、手厚い「補助金」と強力な「減税制度」を用意しています。これらをフル活用すれば、工事費を抑えられるだけでなく、なんと翌年の「固定資産税」まで安くなるのです。

この記事では、築40年超の家を持つ方が絶対に知っておくべき、損をしない「賢いリフォームとお金の話」を徹底解説します。

1. リフォームで「固定資産税」が安くなる3つの減額制度

リフォームをすると「家がきれいになって資産価値が上がるから、固定資産税も高くなるのでは?」と心配される方がいますが、実は逆です。 一定の要件を満たすリフォームを行えば、翌年の固定資産税が「3分の1」から「2分の1」に減額されます。

代表的な3つの減額措置を見てみましょう。

① 耐震リフォーム(地震に強くする)

築40年超の家(特に1982年以前の建物)にとって最も重要なのがこれです。

  • 減額内容: 翌年の固定資産税が 2分の1(半額) になる。

  • 要件: 昭和57年(1982年)1月1日以前に建てられた住宅で、現行の耐震基準に適合させる工事を行うこと。工事費が50万円超であること。

② 省エネリフォーム(断熱・エコ)

窓の二重化や、床・壁の断熱工事などが対象です。光熱費も下がるので一石二鳥です。

  • 減額内容: 翌年の固定資産税が 3分の1 減額される。

  • 要件: 平成26年(2014年)4月1日以前に建てられた住宅。窓の断熱工事が必須で、工事費が60万円超(条件により50万円超)であること。

③ バリアフリーリフォーム(段差解消・手すり)

将来を見据えた、高齢者に優しい家にする工事です。

  • 減額内容: 翌年の固定資産税が 3分の1 減額される。

  • 要件: 築10年以上。65歳以上の方や要介護認定を受けている方が住んでいること。工事費が50万円超であること。

ここに注意! これらの減額措置は、原則として「工事完了後3ヶ月以内」に市町村へ申告しないと適用されません。自動的には安くならないので、忘れずに手続きが必要です。 ※「耐震」と「省エネ」など、一部は併用できる場合があります。


2. 築40年なら狙い目! 今使える「大型補助金」

減税は「後から効いてくる」ものですが、工事費そのものを補填してくれる「補助金(キャッシュバック)」も活用しましょう。特に2024年〜2025年は、過去最大級の予算が組まれています。

① 「先進的窓リノベ」事業

これは「窓」に特化した補助金ですが、還元率が非常に高いのが特徴です。

  • 内容: 内窓の設置やガラス交換などに対し、工事費の50%相当(最大200万円)が補助されます。

  • メリット: 築40年の家は「窓」から熱が逃げています。ここを直すだけで、冬の暖かさが劇的に変わります。

② 子育てエコホーム支援事業

名前に「子育て」とありますが、実は「全世帯」が対象のリフォーム枠があります。

  • 内容: 断熱改修やエコ住宅設備の設置(節水トイレ、高断熱浴槽など)に対して補助金が出ます。

  • メリット: 窓リノベと併用することで、家全体の快適性を底上げできます。

③ 自治体の「耐震改修補助金」

昭和56年(1981年)5月以前の「旧耐震基準」で建てられた家の場合、多くの自治体が100万円単位の補助金を出しています。

  • 戦略: まず自治体の無料耐震診断を受け、その結果をもとに補助金を使って補強工事を行うのが王道ルートです。


3. さらに「所得税」も戻ってくる!

固定資産税(地方税)だけでなく、国の税金である「所得税」も控除対象になります。これを「投資型減税」「ローン型減税」と呼びます。

投資型減税(現金で払う場合)

ローンを組まずに自己資金でリフォームした場合でも使えます。

  • 内容: 標準的な工事費用の10%相当額が、その年の所得税から控除されます(最大控除額は工事内容により20万〜60万円程度)。

  • 対象: 耐震、省エネ、バリアフリー、同居対応など。

確定申告を行うことで、払いすぎた税金が還付されます。これも「知っている人だけが得をする」制度です。


4. 築40年超の家を蘇らせる「賢いリフォーム戦略」

制度を知ったところで、具体的にどこを直すべきか。築40年の弱点を補強しつつ、補助金・減税をフル活用する「最強の組み合わせ」を提案します。

ステップ1:まずは「耐震」で命を守る(+固定資産税半額)

築40年超のリスクは、何と言っても「旧耐震基準」である可能性が高いことです。

  • アクション: 自治体の補助金を使って壁や基礎を補強する。

  • メリット: 命を守れる上に、固定資産税の減額幅が最も大きい(1/2減額)「耐震改修」の要件を満たせます。

ステップ2:「窓」を断熱して快適にする(+補助金ゲット)

耐震工事で壁を触るついでに、窓を「内窓(二重窓)」にします。

  • アクション: 「先進的窓リノベ事業」などの補助金を申請する。

  • メリット: 工事費の約半分が補助金で戻ってくる上、光熱費が下がり、ヒートショック対策にもなります。さらに「省エネ改修減税」の要件も満たせます。

ステップ3:水回りをバリアフリー化する

お風呂をタイル張りからユニットバスに変えたり、段差をなくしたりします。

  • アクション: 「子育てエコホーム」や「介護保険の住宅改修費支給(最大20万円)」を併用する。

  • メリット: 老後の生活が楽になり、掃除の手間も激減します。


5. 絶対に失敗しないための「注意点」

最後に、これらの制度を利用する上で絶対にやってはいけない「失敗パターン」をお伝えします。

① 工事契約の「前」に申請が必要

補助金のほとんどは、「着工前(契約前)」に申請が必要です。 工事が終わってから「領収書があるので補助金をください」と言っても、1円ももらえません。必ず見積もりの段階で、業者に「補助金を使いたい」と伝えてください。

② リフォーム会社選びが命

すべてのリフォーム会社が補助金や減税に詳しいわけではありません。

  • 「増改築等工事証明書」の発行ができるか?

  • 補助金の「登録事業者」になっているか?

この2点を必ず確認してください。この書類がないと、いくら立派な工事をしても減税措置を受けることができません。


まとめ:古い家こそ、手を入れる価値がある

「築40年だから、もう建て替えるしかない」と諦める前に、一度計算機を叩いてみてください。

  1. 自治体の補助金で工事費を安くする。

  2. 国の補助金で窓や設備をお得に入れる。

  3. 所得税の還付で現金を取り戻す。

  4. 翌年の固定資産税を半額にする。

  5. 日々の光熱費を下げる。

これらを組み合わせれば、驚くほどリーズナブルに、新築同様の暖かさと安心感を手に入れることができます。 家は、手をかければ必ず応えてくれます。まずは、お住まいの自治体でどのような補助金が出ているか、調べることから始めてみませんか?

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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