定年退職後も住宅ローンの残債がある場合の対処法とは?
定年後の生活は多くの人にとって、収入が大幅に減少します。それによって住宅ローンの支払いが難しくなる場合も有りえます。そのため、返済が難しくなる前に返済計画を立てるなどの準備が大切です。
本記事では、住宅ローンが払えなくなる原因と防ぐために実行すべき対処方法を紹介します。
定年後に住宅ローンが払えなくなってしまう理由
定年後の収入の大幅ダウン
定年退職後は、現役時代と比べて収入が下がる方がほとんどです。再雇用や再就職をする人もいますが、給与は現役時代よりも大幅に低くなりがちです。
このような状況で、住宅ローンの返済を続けることは生活を圧迫するでしょう。そのため、定年退職後のローン返済が困難になるケースが増えています。
予期しない支出の増加
老後には、突発的な医療費がかかってしまう場合や自宅の修繕費など、予期しない出費が発生すると住宅ローンの返済が難しくなる場合があります。高齢になると病気やけがのリスクが高まり、医療費や介護費用の負担が増えやすいです。
医療費は健康維持に欠かせないもののため、何よりも優先的に使うものです。定年後は収入が減るだけではなく、出費も増えてしまうことも考えておかなければなりません。
退職金や年金が少ない
退職金が予想よりも、大幅に少ないことも問題です。近年の退職金の減少傾向により、実際に受け取れる金額が予想を大きく下回るケースが増えています。
退職金は老後の生活費や医療費、介護費用などに備えておく必要があります。退職金の減少は、老後の経済的安定を揺るがし、住宅ローンの返済計画に大きな影響を与える要素です。
定年後に住宅ローンが払えないとどうなるのか
督促状が届く
住宅ローンを滞納した場合、メールや電話などで連絡が来ます。一般的には1か月滞納しただけで、すぐに督促状が届いてしまう心配はありません。しかし、その後も支払われない場合は、滞納とみなされ督促状が届いてしまうので注意が必要です。
住宅ローンの一括返済を求められる
督促状が自宅に届いているのにも関わらず、返済の滞納が3ヶ月以上続くと、一括で返済するよう債権者から言い渡されてしまいます。この場合、住宅ローンの残債のすべてを即座に支払う必要があります。
また、一括返済が難しい場合は、日に日に高額の遅延損害金が累積していきます。1,000万円あたり、1日の遅延損害金は4,000円ほどになります。
競売にかけられる
住宅ローンの滞納が6ヶ月以上続くと、その住宅が競売にかけられる可能性があります。これは保証会社が裁判所に対して手続きするものです。
競売は不動産を担保に、ローン返済を求める仕組みで、申し立てが認められた場合は、競売が開始されます。
また、この競売については基本的に保証会社と裁判所の間でおこなわれるもののため、債務者の意志や主張は一切聞いてもらえません。
そもそも、競売では市場価格よりも低い価格で売却されることが多く、残債が残るのが一般的です。
競売にかけられる前に何らかの対策をしましょう。
定年後に住宅ローンが払えない場合の対処法
住宅ローンは返済期間が長く、家計への影響も大きいため、将来のリスクに備えた早めの準備が大切です。
ここからは、定年後に住宅ローンが払えない場合でも、そのまま自宅に住み続ける方法をご紹介します。
住宅ローンの借り換えを検討する
住宅ローンの返済負担を軽減するためには、金利の低いローンへの借り換えも検討してみましょう。借り換えによって金利が下がれば、毎月の返済額や総返済額が減少します。
金利の低いローンに借り換えすることにより、家計の負担が軽くなり、将来の返済リスクも抑えられるでしょう。
ただし、これらの見直しを行う際には、手数料や再審査の有無なども確認が必要です。
親子リレーローンによる借り換えを検討する
70歳を超えてしまっている場合には、親子リレーローンによって借り換えるという方法もあります。
親子リレーローンとは、主たる債務者が親、後継者の子供が連帯債務者になり、親子で一つの住宅ローンを返済していくローンです。
ただし、親子リレーローンには、子どもの収入や信用状況が審査対象となるため、事前に子どもと十分に話し合い、合意を得ることが必要です。さらに、金融機関ごとに提供される条件や手数料が異なるため、複数の選択肢を比較検討することが重要です。
リースバックの活用
「今の家に住み続けたいけれど、買い替えのお金がない・ローンの返済金額を減らしたい」という場合はリースバックをおすすめします。
リースバックとは今の家を第三者に売却し、その第三者から今の家を借りて住み続ける方法のことです。
リースバックの詳しい説明はこちらの記事をご参考ください
リースバックを活用する際の注意点として、売却価格が低すぎると、一括返済後の資金が不足する可能性があるため、適正な価格での売却が重要です。また、賃料が高すぎると毎月の生活費を圧迫する可能性があるため、適切なバランスを見つけることが必要です。
リバースモーゲージ型の住宅ローンに借り換えする
リバースモーゲージとは、所有する自宅を担保にして資金を借り入れる仕組みです。通常の住宅ローンとは異なり、毎月の返済は利息だけとなり、借入金は自宅の売却時や相続時に一括返済されます。
リバースモーゲージの詳しい説明は以下の記事をご参考ください。
リバースモーゲージとは?メリット・デメリットや注意点などを解説
なお、リバースモーゲージを利用する際には、いくつかのリスクがあります。不動産の価値が下落した場合、借入限度額との差額を一括返済しなければいけない可能性があるなど、リスクを伴いますので十分制度を理解した上で検討しましょう。
まとめ
定年後に住宅ローンを払えなくなるリスクは、現代では多くの人たちに起こりえる問題です。しかし、早めに計画を立て、適切な対策を講じることで、そのリスクを軽減できます。
返済計画の見直しや親族間での支援、借り換えなど、さまざまな方法を検討し、自分に合った解決策を見つけることが重要です。また、定年前からの準備や、定年後の収入確保策も欠かせません。
定年後に住宅ローンの支払いが厳しくなる前に、返済計画の見直しや借り換えなどを検討してみてください。