保険の見直しで「年間10万円節約」! 50代夫婦が本当に必要な保険の取捨選択
50代は、人生の「曲がり角」です。子供が独立し、住宅ローンのゴールが見え始める一方で、自身の健康不安や老後資金の不足が現実味を帯びてくる時期でもあります。
そんな50代夫婦にとって、最も確実で、かつ手っ取り早い家計改善策があります。それが「保険の見直し」です。
「若い頃に入ったまま放置している」 「保険のおばちゃんに言われるがまま契約した」
もし心当たりがあるなら、あなたは年間10万円以上、無駄な払い込みをしている可能性があります。この記事では、50代夫婦が「守り」から「攻め」へ家計をシフトするために、本当に必要な保険を取捨選択する基準を解説します。
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1. なぜ50代で「見直し」が必須なのか?
30代・40代の頃、あなたが保険に入った最大の目的は何だったでしょうか? おそらく「自分に万が一のことがあっても、子供が大学を卒業するまで生活に困らないようにすること」だったはずです。
しかし、50代になり子供が独立すれば、その「数千万円の保障」はもう必要ありません。
「必要保障額」の三角形を知る
上記の図のように、人生に必要な保障額(保険金)は、年齢とともに右肩下がりに減っていきます。
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30代: 責任重大。死亡保障3,000万円などが必要。
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50代: 責任完了。必要なのは「配偶者の生活費」と「葬儀代」程度。
それなのに、30代の頃と同じ内容で更新を続けていると、年齢による保険料アップも重なり、家計を激しく圧迫します。これを「保障の持ちすぎ(オーバーインシュアランス)」と言います。ここを削ぎ落とすだけで、月1万円(年12万円)の節約は決して夢物語ではありません。
2. 【死亡保険】「遺族年金」を計算に入れているか?
50代の保険見直しで、最もメスを入れるべきなのが「死亡保障(定期保険・終身保険)」です。
「夫が死んだら、妻が露頭に迷うのでは…」と心配になりますが、日本の公的保障は意外と手厚いです。会社員の夫が亡くなった場合、妻には「遺族厚生年金」が支給されます。
見直しの具体策
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数千万円の定期保険は解約または減額: 子供が独立していれば、高額な死亡保障は不要です。葬儀代やお墓代として300万〜500万円程度あれば十分なケースがほとんどです。
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貯蓄があるなら「保険ゼロ」も検討: もし手元に1,000万円以上の預貯金があるなら、葬儀代もそこから出せます。わざわざ高い手数料を払って保険で備える必要はありません。
3. 【医療保険】「高額療養費制度」を忘れてはいけない
次に見直すのが、入院や手術に備える「医療保険」です。50代は病気のリスクが上がるため、「手厚くしておきたい」という心理が働きますが、ここにも落とし穴があります。
日本最強のセーフティネット「高額療養費制度」
どれだけ医療費がかかっても、一般的な収入の方であれば、ひと月の自己負担上限額は約8万〜9万円程度で済みます。
つまり、100万円の手術をしても、窓口で払うのは9万円弱。これを知っていれば、「入院日額1万円」「手術給付金20万円」といった手厚すぎる民間保険は不要だとわかります。
見直しの具体策
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日額5,000円で十分: 個室代(差額ベッド代)や食事代をカバーする程度で十分です。
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「特約」のデパートになっていないか?: 「通院特約」「特定疾病特約」など、月数百円のオプションも積み重なれば山となります。「シンプルに入院と手術だけ」にするのが節約の鉄則です。 ※ただし、治療費が高額になりがちな「先進医療特約(月額100円程度)」だけは、コスパが良いので残しておく価値があります。
4. 【貯蓄型保険】「払い済み」という裏ワザ
「低解約返戻金型終身保険」や「個人年金保険」など、貯蓄を兼ねた保険に入っている方も多いでしょう。 しかし、これらは毎月の保険料が高額になりがちです。「老後資金のため」と無理をして家計が赤字になっては本末転倒です。
「解約」ではなく「払い済み」にする
途中で解約すると元本割れして損をする場合があります。そこで使えるのが「払い済み」という変更手続きです。
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どうなる?: 今後の保険料の支払いをストップします。
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保障は?: これまで払った保険料の範囲内で、保障額を小さくして契約を継続します(解約返戻金もそのまま運用されます)。
これにより、「毎月の支払いはゼロ」になりつつ、「これまで積み立てた資産は守る」ことができます。浮いた数万円を、NISAなどのより効率的な運用に回すのが現代の賢い選択です。
5. 50代夫婦の「正解」ポートフォリオ
では、結局どうすればいいのでしょうか? 典型的な見直し例を挙げます。
【Before:月額35,000円】
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夫:定期保険(死亡3,000万円) 15,000円
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夫:医療保険(日額1万円+特約多数) 8,000円
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妻:医療保険(日額5,000円) 4,000円
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妻:個人年金保険 8,000円
【After:月額10,000円】(年間30万円の節約!)
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夫:定期保険 → 解約(貯蓄と遺族年金でカバー) 0円
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夫:医療保険 → シンプルな共済などに変更 3,000円
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妻:医療保険 → そのまま 4,000円
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妻:個人年金 → 「払い済み」に変更 0円
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(追加):がん保険(診断一時金のみ) 夫婦で3,000円
浮いた25,000円をiDeCoや新NISAで積立投資に回せば、10年後(60代)には約350万円以上の資産(年利3%想定)が作れます。 「保険で安心を買う」のではなく、「現金を残して安心を作る」。これが50代の正しい戦略です。
まとめ:保険証券を探すことから始めよう
保険は「一度入ったら終わり」ではありません。ライフステージに合わせて着替えるものです。 特に50代は、子供への責任という重荷を下ろし、自分たちの老後を守るために装備を軽くするタイミングです。
「年間10万円」は大金です。美味しいものを食べることも、旅行に行くこともできます。 保険会社のために働いているわけではありません。まずは、タンスの奥にある「保険証券」を引っ張り出し、現在の契約内容を確認することから始めてみませんか?
