生命保険、本当に必要?シニア世代の保険の「やめどき」と「残しどき」

「子どもが独立した今、高額な生命保険は本当に必要なのだろうか?」

そう感じているシニア世代の方は少なくありません。人生のステージが変わるにつれて、保険に求める役割も変化します。この記事では、シニア世代が生命保険を見直す際の「やめどき」と「残しどき」の考え方、そして賢く保険を活用するためのポイントを解説します。

生命保険のイメージ

生命保険の役割は「リスクの備え」

生命保険の最大の役割は、「もしもの時に、遺された家族の生活を守る」ことです。

現役世代にとっては、一家の大黒柱に万が一のことがあった場合、残された配偶者や子どもの生活費、学費などを保障する重要な役割を果たします。

しかし、シニア世代になり、子どもが独立して経済的に自立したり、住宅ローンを完済したりすると、この「守るべき生活」のリスクは大幅に減少します。これが、保険を見直すタイミングとなるのです。

シニア世代の生命保険の「やめどき」

以下の条件に当てはまる場合は、生命保険の解約や保障額の減額を検討する「やめどき」かもしれません。

高額な死亡保障が必要ない

「万が一のことがあっても、残された配偶者の生活費や葬儀費用をまかなえるだけの貯蓄がある」という場合、過剰な死亡保障は必要ないかもしれません。必要な保障額を再計算し、それに合わせて保険を見直しましょう。

保険料の支払いが負担になっている

年金生活に入ると、現役時代に比べて収入が減るのが一般的です。月々の保険料の支払いが家計を圧迫しているなら、解約を検討する大きな理由になります。保険料の負担を減らすために、保障額を減らしたり、掛け捨て型の保険に切り替えたりする選択肢もあります。

貯蓄で十分な備えができている

退職金やこれまでの貯蓄、年金で、今後の生活資金や万が一の備えが十分に確保できているなら、高額な保険に頼る必要性は低くなります。

シニア世代の生命保険「残しどき」のサイン

一方で、たとえシニア世代になっても、生命保険を残しておくべきケースもあります。

葬儀費用や遺産整理費用をまかないたい

「自分の死後、家族に金銭的な負担をかけたくない」と考えるなら、葬儀費用や遺産整理費用として使える程度の少額の死亡保険を残しておくのも一つの手です。「終身保険」であれば、一生涯保障が続き、いつ亡くなっても保険金を受け取れます。

配偶者の生活資金を確保したい

配偶者に十分な年金や貯蓄がなく、自身の死亡後に経済的に不安が残る場合、配偶者の生活を保障するための保険は引き続き必要です。公的年金制度の遺族年金と、貯蓄額を考慮して、不足分を補うための保障額を検討しましょう。

資産を公平に分配したい

特定の相続人にだけ資産を残したい場合や、遺言だけでは難しい資産の分割をスムーズに行いたい場合、生命保険が有効な手段になることがあります。生命保険金は受取人固有の財産とみなされるため、相続財産とは別に受け取ることが可能です。

シニア向け生命保険は4種類

通常、生命保険は年齢が高くなるほど保険料も上がる傾向にあり、加入には年齢制限や健康状態告知が設けられています。
特に70代、80代の人が保険に加入しようとすると選択肢は少なくなり、シニア世代に対応した商品やプランを選ぶ必要があります。

年齢を重ねると病院にかかる機会も増加しますから、年齢や健康状態に応じて、複数の商品・プランの中からコストや補償内容を比較し、適切なプランを選んで加入することが大切です。

シニア世代の生命保険の選択肢には、主に次のようなものがあります。

通常型の生命保険

健康状態に問題がない方は、通常型の生命保険が有力な選択肢のひとつになります。
通常型の生命保険では、一生涯の保障が続く「終身保険」も選べます。必ず確保しておきたい保障は終身保険で備えておくといいでしょう。

引受基準緩和型の生命保険

通院歴や持病があり、通常型の生命保険に加入できない場合は、引受基準緩和型の生命保険が選択肢です。
健康に関する告知の項目が少なく、持病のある人でも加入しやすくなっています。

一方で、通常型の生命保険よりも保険料が高めに設定されています。
通院歴があると絶対に通常型に加入できないというわけではありませんので、まずは通常型の加入可否を確認してみると良いでしょう。

少額短期保険の死亡保険

少額短期保険は、1年更新の比較的シンプルな保険です。
保険料も安価な傾向で、幅広い年齢に対応した商品も多く、高齢でも加入しやすいのが特長です。

一方で、年齢に応じて保険料が上がる更新型のため、年齢の高い方が中長期で加入しようとすると保険料総額が高額になりやすく、年齢や健康状態によっては通常型の生命保険のほうがメリットが大きくなることもあります。

共済

各種共済にもシニア世代を対象としたプランが販売されており、安価な掛け金で加入することができます。
ただ、こちらは年齢が高くなるほど死亡保険金額がどんどん小さくなっていくため、十分な備えとは言いづらいでしょう。

まとめ

生命保険の「やめどき」と「残しどき」は、一人ひとりの家族構成、資産状況、そして将来のライフプランによって異なります。

まずは「今、自分に本当に必要な保障は何か?」をじっくりと見つめ直すことから始めてみましょう。現在の保険の契約内容を確認し、必要であれば保険会社やファイナンシャルプランナーに相談して、自分にとって最適な選択をしてください。

生命保険は、あなたの人生のパートナー。ライフステージの変化に合わせて、賢く見直していくことが大切です。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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