「おひとりさま」でも安心!自分らしい最期を迎えるための終活プラン
近年、「おひとりさま」として人生を歩む方が増えています。それに伴い、「自分の最期はどうなるんだろう?」「誰に頼めばいいのか」といった不安を抱えている方も少なくないでしょう。しかし、終活は自分らしい最期を迎えるための大切な準備です。
この記事では、「おひとりさま」が安心して終活を進めるための具体的なプランをご紹介します。
おひとりさまの終活は、なぜ必要?
お一人で暮らしていると、周囲との関わりが希薄になりがちです。そして、そのような方が陥りやすいリスクというものがあります。しかし終活を通して元気なうちから準備しておくことで、それらのリスクを回避できることがあります。
孤独死を防ぐため
近年、誰にも看取られずに死を迎える孤独死が社会問題になっています。一般社団法人日本少額短期保険協会のデータによると、孤独死の原因の6割以上が病気という結果が出ています。一人暮らしの場合、病気に気づいてくれる家族がいないため、そのまま放置し死にいたってしまうこともあるようです。また亡くなった後、何日間も放置され、腐敗した状態で発見されるケースも少なくありません。
孤独死を防ぐために重要なことは、周りの人と関わりを持つことです。訪問サービスや民生委員制度を利用するなど、終活を通して意識的に周囲と関わり、万一の時に頼れる存在を見つけておくことが、孤独死対策にもつながります。
もしもの時の治療や介護が受けられなくなるのを防ぐため
元気なうちは問題ありませんが、体調に何らかの変化があり、治療や介護が必要になった時、病院や介護施設に入るためには身元保証人・身元引受人の存在が必要になります。そのため、元気なうちから身元保証人・身元引受人を確保しておく必要があります。
自分が望まない人に、遺産が相続されるのを防ぐため
自分が希望していない人に、自分の財産が相続されることを防ぐためには、遺言を準備し、法的効力のある形で残しておく必要があります。終活を通して元気なうちに済ましておくことで、安心して残りの人生を楽しむことができます。
周囲に迷惑をかけずに済む
人がお亡くなりになった後は、遺品整理や身辺整理、各種解約手続きなどで、ご遺族や周囲の方の手を煩わせてしまうことになります。その負担を少しでも軽くするためには、事前に葬儀社を決めておいたり、身の回りの不用品を捨てておいたり、パソコン上の各種ログインパスワードをメモに残しておいたりと、できることは元気なうちに済ませておくことが大切です。
終活を始める第一歩:まず何から手を付けるべき?
終活と聞くと難しく感じるかもしれませんが、まずは自分の気持ちを整理することから始めましょう。以下の3つのステップで、あなたの「こうしたい」を明確にしていきます。
「もしも」を想像してみる
自分が病気になったり、介護が必要になったりした場合、どのような治療を受けたいか、どこで過ごしたいかを考えてみましょう。延命治療を望むか、緩和ケアを希望するかなど、具体的な選択肢を想像することが重要です。
エンディングノートを書いてみる
エンディングノートは、財産、葬儀、お墓、医療、介護など、様々な希望を書き留めるためのノートです。中には自分なりにこれまでの人生を振り返り、自分史を記しておく方もいらっしゃいます。特に書き方の決まりはありませんので、自由に書き綴ってみましょう。
【エンディングノートに書くことの例】 ・自分史 ・自分のプロフィール(基本情報) ・財産のこと(預貯金・借金・不動産など) ・遺言書があれば保管場所 ・医療や介護への意向 ・葬儀やお墓の希望 ・パソコンやSNSなどのログイン情報 ・免許証・保険証・パスポートなどの情報 ・友人の連絡先リスト(訃報を知らせてほしい人など) ・ペットがいれば、ペットの取り扱い ・家族や友人へのメッセージ |
専門家や支援団体に相談してみる
終活の専門家(弁護士、司法書士など)や、終活をサポートするNPO法人、自治体の相談窓口に相談することで、具体的な手続きや利用できるサービスについて知ることができます。一人で抱え込まず、プロの力を借りることも大切です。
具体的な終活プラン:あなたの不安を解消する3つの対策
気持ちの整理ができたら、次に具体的な準備を進めていきましょう。特に「おひとりさま」が不安に感じるであろう3つのポイントについて、具体的な対策を解説します。
①医療・介護の不安解消:医療代理人や任意後見制度を活用する
病気や認知症で自分の意思を伝えられなくなった場合に備え、医療や介護に関する意思を託す準備をしておきましょう。
医療代理人
終活における医療代理人とは、本人が意思表示できなくなった場合に、本人の代わりに医療行為に関する意思決定を行う人のことです。終末期医療における延命治療の拒否など、本人の意思を医療機関に伝える役割を担います。
任意後見制度
来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ後見人(財産管理や契約手続きを行う人)を定めておく制度です。公正証書を作成することで、法的な効力を持たせることができます。
②葬儀・お墓の不安解消:生前予約と死後事務委任契約
「自分の死後の手続きを誰に頼めばいいのか」という不安は、生前予約と死後事務委任契約で解消できます。
生前予約
自分の死後のことを事前に準備しておくことで、残された家族の負担を減らし、自身の希望する形で葬儀やお墓を迎えたいと考える人が増えているためです。特に、少子高齢化や核家族化が進む現代社会において、お墓の継承者がいない、または子供に負担をかけたくないという理由から、生前予約を選択する人が増えています。
死後事務委任契約
本人が亡くなった後に必要となる様々な手続きを、生前に信頼できる第三者に委任する契約のことです。
具体的には、葬儀の手配、死亡届の提出、遺品整理、契約の解約、お墓の手配、公共料金の清算などが含まれます。この契約により、自分の死後の手続きを任せたい人に託すことができ、特に「おひとりさま」や身寄りのない方にとって、安心して終活を進める上で有効な手段となります。
③財産の不安解消:遺言書の作成と財産管理委任契約
残された財産をどうするかは、遺言書で明確にしておくことが大切です。
遺言書の作成
基本的に、何もしなければ財産は法定相続人に相続されてしまいます。そのため相続に関して希望がある場合は、遺言書を残しておくと安心です。エンディングノートに書くこともできますが、それだけでは法的効力はありません。確実に希望通りに相続を行いたい場合は、法的効力のある遺言書を残しておきましょう。書き方を間違えてしまうと無効とされてしまう場合もありますので、法律が定める様式に従って作成することが大切です。
財産管理委任契約
財産管理委任契約とは、判断能力があるうちに、将来、自身で財産管理が難しくなった場合に備え、信頼できる人に財産管理や身上監護を委任する契約です。具体的には、預貯金口座の管理、不動産の管理、入院費や施設利用料の支払い、行政手続きなどを委任できます。任意後見契約と異なり、判断能力がある状態から契約できるのが特徴です。
まとめ
終活は、決して「死」を意識して暗くなるものではありません。自分の人生を最後まで自分らしく生きるためのポジティブな活動です。
今回ご紹介したプランを参考に、できることから少しずつ始めてみませんか? きっと、終活を始めることで、不安が解消され、これからの毎日をより豊かに過ごせるようになるはずです。