年収400万円台の会社員必見! 損をしない「厚生年金」を増やすには?
年収400万円台の会社員の方にとって、毎月の給与明細で引かれる「厚生年金保険料」は決して安くない金額です。「ただ引かれている税金のようなもの」と感じている方も多いかもしれませんが、実は厚生年金は、あなたの工夫次第で将来受け取れる金額を「増やす」ことができる金融商品でもあります。
日本の平均年収に近い「400万円台」の方は、これからの戦略次第で老後の安定度が大きく変わる重要なポジションにいます。
この記事では、制度の仕組みを逆手にとり、損をせず賢く厚生年金を増やすための具体的な戦略を解説します。
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1. そもそも厚生年金はどうやって決まる?
増やす方法を知るには、計算式(仕組み)をざっくり理解する必要があります。難しい数式は覚えなくて大丈夫です。以下の2つの要素だけで決まると覚えてください。
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いくら稼いだか(生涯平均年収)
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どれだけ長く働いたか(加入期間)
つまり、厚生年金を増やすための王道は「給料(標準報酬月額)を上げる」か「長く働く」かの2択です。しかし、今の会社で急に給料を倍にするのは現実的ではありませんよね。
そこで、年収400万円台の会社員が現実的に実行できる「3つの増額アプローチ」を紹介します。
2. アプローチ①:「標準報酬月額」の仕組みを味方につける
厚生年金保険料(および将来の年金額)は、毎月の正確な給与額ではなく、「標準報酬月額」というランク(等級)で決まります。
4月・5月・6月の残業代がカギ
このランクが決まるのは、毎年4月、5月、6月の3ヶ月間の給与平均です。
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よくある節約術: 「4〜6月は残業を減らして、社会保険料(等級)を下げよう」
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これは「手取り」を増やすためのテクニックです。
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年金を増やす戦略: 「4〜6月にあえてしっかり働く」
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この期間の給与が高いと、その年(9月から1年間)の保険料は上がりますが、その分、将来の年金計算のベースとなるランクも上がります。
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「今は保険料を多く払ってでも、将来の受給額を底上げしたい」と考えるなら、この時期の働き方を意識するのは一つの手です。
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ボーナス(賞与)も年金に反映される
以前はボーナスから年金保険料は引かれませんでしたが、現在は「総報酬制」となり、ボーナスからも保険料が引かれ、その分将来の年金にプラスされます。
年収400万円台の場合、月給だけでなく「賞与が安定して出る会社」に長く勤めることも、厚生年金を増やす重要な要素です。
3. アプローチ②:最強のカード「繰り下げ受給」
給料を上げるよりも、確実に、そして劇的に年金を増やせる方法が「受給開始時期を遅らせる(繰り下げ受給)」ことです。
通常は65歳から受け取りますが、これを1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額されます。
増額率のシミュレーション
| 受給開始年齢 | 増額率 | 備考 |
| 65歳 | 0% | 標準 |
| 66歳 | +8.4% | 1年待つだけで預金金利を遥かに超える |
| 70歳 | +42.0% | 年金額が約1.4倍に |
| 75歳 | +84.0% | 年金額が約1.8倍に(最大) |
ポイント
一度増額された年金額は、一生涯変わりません。
「長生きリスク」に備えるには、iDeCoやNISAで資産運用をするよりも、この「繰り下げ」を使う方が確実性が高いと言われています。
年収400万円台の方であれば、基礎年金と厚生年金を合わせて月額14〜15万円程度(加入期間による)が目安ですが、これを70歳まで繰り下げれば月額20万円近くまで引き上げることが可能です。
4. アプローチ③:長く働いて「経過的加算」を狙う
「定年後も働く」ことは、直近の収入を得るだけでなく、年金を増やす効果があります。
60歳以降も厚生年金に入るとどうなる?
60歳で定年退職し、その後再雇用などで働く場合、給与が下がることが多いでしょう。「給料が下がると、将来の年金も減るのでは?」と心配になりますが、年金自体は減りません。
むしろ、以下のメリットがあります。
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加入期間が伸びる: 厚生年金は70歳まで加入できます。安い給料でも加入し続ければ、「加入月数」が増えるため年金は増えます。
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経過的加算(けいかてきかさん): 60歳以降も厚生年金に加入すると、定額部分相当額が「経過的加算」として老齢厚生年金に上乗せされます。これは給与の多寡に関わらず、加入月数に応じて増えるため、非常に効率が良い仕組みです。
5. 年収400万円台だからこそ注意したい「損」の落とし穴
逆に「これをすると損をしてしまう」というポイントも押さえておきましょう。
① 「在職老齢年金」の壁を意識しすぎない
「働きながら年金をもらうと、年金がカットされる」という話を聞いたことはありませんか? これを在職老齢年金制度といいます。
しかし、2022年の改正で基準が緩和されました。
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基本月額(年金)+ 総報酬月額相当額(給与+賞与) が 50万円 を超えなければ、年金はカットされません。
年収400万円台(月収換算約33万円)の方が、定年後に再雇用で給与が多少下がったとしても、年金と合わせて月50万円を超えるケースは稀です。
「年金が減らされるから働くのをやめよう」と過度に心配する必要はありません。堂々と働いて、年金を増やしましょう。
② 配偶者の「扶養」戦略を見直す
もし配偶者がパートタイムで働いていて「年収106万円(または130万円)の壁」を気にしているなら、世帯単位で計算してみましょう。
配偶者が壁を超えて社会保険(厚生年金)に加入すると、目先の手取りは減ります。しかし、配偶者自身も「将来の厚生年金」を受け取れるようになります(「2階建て」の年金になる)。
夫婦ともに厚生年金を受け取る「ダブル厚生年金(パワーカップルならぬパワーシニア)」は、老後の最強の安定策です。
6. まとめ:今日からできるアクション
年収400万円台の会社員が、厚生年金を「増やし」、老後を豊かにするためのロードマップは以下の通りです。
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現役時代: 4〜6月の残業を無理に避けず、等級アップ(将来の増額)を受け入れる。長く勤めて加入期間を稼ぐ。
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60代前半: 再雇用などで70歳近くまで厚生年金に加入し続け、「経過的加算」を積み上げる。
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60代後半〜70代: 手元の貯蓄や退職金、iDeCoなどを生活費に充て、公的年金の受給開始を「1年でも遅らせる(繰り下げ)」。
厚生年金は、長生きすればするほど得をする「終身保険」です。
「どうせもらえない」と諦めるのではなく、今のうちから「長く働き、受け取りを遅らせる」という戦略を持つだけで、老後の景色は驚くほど明るくなります。
