スキルアップに使える「国の助成金・給付金」:60歳以上が対象の制度

「定年を迎えたけれど、まだまだ働きたい」 「新しい趣味や仕事のために、資格を取りたいけれど費用が…」

人生100年時代、60歳は「引退」ではなく、セカンドキャリアの「スタート」です。 しかし、新しいスキルを身につけようとスクールに通ったり、資格講座を受けたりすると、数万円から数十万円の費用がかかることも珍しくありません。

そこで活用したいのが、国や自治体が用意している「助成金・給付金制度」です。 実は、60歳以上の方でも使える制度はたくさんありますが、「知らない」というだけで数百万円単位の損をしているケースも少なくありません。

この記事では、シニア世代のスキルアップや再就職を強力にバックアップする、お得な国の制度を厳選して解説します。

1. 最大70%還元! 王道の「教育訓練給付制度」

スキルアップ支援の代名詞とも言えるのが、厚生労働省の「教育訓練給付制度」です。

指定された講座を受講し、修了した場合に、受講費用の一部(20%〜最大70%)がハローワークから支給されます。

年齢制限の上限はなく、在職中の方も、離職して1年以内の方も対象です。

3つのコースと給付率

目指すスキルのレベルによって、3つのコースに分かれています。

コース名 給付率(上限額) 対象講座の例
① 一般教育訓練 20%(10万円) 英会話、パソコンスキル、簿記、大型免許など
② 特定一般教育訓練 40%(20万円) 宅建士、介護職員初任者研修、税理士など
③ 専門実践教育訓練 最大70%(年間56万円) 介護福祉士、看護師、キャリアコンサルタントなど

60代におすすめの活用法

  • ① 一般教育訓練:

    • 「定年後の趣味と実益を兼ねてパソコンを習いたい」

    • 「大型二種免許を取ってバスの運転手になりたい」

    • 比較的短期間で、費用の2割が戻ってくるため、気軽に利用できます。

  • ③ 専門実践教育訓練:

    • 「未経験から介護職に挑戦したい」

    • 「キャリアコンサルタントとして独立したい」

    • 本気でキャリアチェンジを目指すならこちら。最大70%という驚異的な還元率ですが、受講前のキャリアコンサルティング(面談)が必須など、手続きは少し複雑です。

【超重要】退職後「1年以内」が勝負!

この制度を使うには「雇用保険の加入期間」などの要件があります。特に注意したいのが、「退職日の翌日から1年以内」に受講開始しないと、受給資格を失ってしまう点です。「少し休んでから…」とのんびりしていると、権利が消滅しますのでご注意ください。


2. 受講料「無料」! ハローワークの「公的職業訓練」

「お金をかけずに学びたい」という方にとって最強の味方が、「公的職業訓練(ハロートレーニング)」です。

テキスト代などの実費はかかりますが、受講料自体は原則「無料」です。

2つのタイプ

  1. 公共職業訓練:

    • 対象: 雇用保険(失業手当)を受給している人。

    • メリット: 手当をもらいながら、無料で学校に通えます。

  2. 求職者支援訓練:

    • 対象: 雇用保険を受給していない人(自営業廃業後や、専業主婦など)。

    • メリット: 一定の要件(世帯収入など)を満たせば、月10万円の給付金をもらいながら通えます。

60代に人気のコース

  • ビル管理(ビルメンテナンス):

    • ボイラー技士、電気工事士、危険物取扱者などの資格をセットで取得。シニア求人が多く、定年後の再就職先として非常に人気です。

  • 介護・福祉系:

    • 実務者研修など。年齢を問わず求人が絶えない分野です。

  • パソコン・IT基礎:

    • Word、Excel、Web制作の基礎など。事務職や在宅ワークを目指す方に。


3. 企業向けの助成金を知っておく(再就職・再雇用時)

これは個人が受け取るものではありませんが、「シニアを雇うと会社が得をする助成金」を知っておくことは、就職活動の強力な武器になります。

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

60歳以上の求職者を雇い入れた事業主に対して、国から助成金が支払われる制度です。

  • あなたのメリット: 面接の際、「私はこの助成金の対象になります」とハローワークの紹介状を添えてアピールすることで、採用のハードルを下げることができます。

人材開発支援助成金

会社が従業員に訓練を受けさせる際、費用や賃金の一部を国が助成する制度です。

  • あなたのメリット: 再雇用先や新しい職場で、「このスキルを身につけたいので、この助成金を使って研修に行かせてもらえませんか?」と提案できます。会社はお金を出さずに社員教育ができ、あなたは無料でスキルアップできます。


4. 自治体独自の「シルバー人材センター」と講習

国の制度ではありませんが、各自治体の「シルバー人材センター」もスキルアップの宝庫です。

  • 特徴: 会員向けに、独自の技能講習会を実施しています。

  • 講習例: 植木剪定(せんてい)、襖(ふすま)張り、家事援助、筆耕(宛名書き)など。

  • メリット: 講習を受けた後、そのままシルバー人材センターを通じて仕事を紹介してもらえるルートが確立されています。「地元で、無理なく、手堅く働きたい」という方に最適です。


5. デジタルスキル習得への支援(リスキリング)

政府は今、個人の「リスキリング(学び直し)」に巨額の予算を投じています。特にIT・デジタル分野は手厚いです。

経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」

民間事業者が提供する講座を受講し、実際に転職した場合、最大56万円(費用の70%)が補助されます。

プログラミングやWebデザインなど、在宅ワークにも繋がるスキルを身につけたいアクティブなシニアにおすすめです。


まとめ:学ぶことは「防衛」であり「投資」である

「今さら勉強なんて…」と思うかもしれません。

しかし、少子高齢化で人手不足の日本において、「スキルを持ったシニア」はダイヤモンドの原石です。

  1. 雇用保険に入っていたなら「教育訓練給付」

  2. 失業中なら「ハロートレーニング(無料)」

  3. 地元密着なら「シルバー人材センター」

これらの制度は、あなたが長年税金や保険料を払ってきた「権利」です。使わなければ損です。

まずは、自分が使える制度がどれかを確認し、資料を取り寄せることから、新しい人生の扉を開いてみませんか?

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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