「かかりつけ医」はいる? 複数の病院を上手に利用する「セカンドオピニオン」の活用

「最近、体のあちこちが痛むけれど、どの病院に行けばいいのかわからない」 「大きな病院に通っているけれど、先生が忙しそうで相談しにくい」 「手術を勧められたけれど、本当にそれでいいのか不安…」

年齢を重ねると、病院との付き合い方は生活の質(QOL)を左右する大きな問題になります。

昔のように「何かあったらとりあえず大学病院へ」という考え方は、今の医療制度では通用しなくなってきました。待ち時間は長く、紹介状がないと高額な特別料金を取られることもあります。

そこで今、シニア世代に求められているのが、「かかりつけ医」を持ち、必要な時に「セカンドオピニオン」を活用するという、「賢い二段構え」の医療スタイルです。

この記事では、あなたの健康寿命を守るための、医師との正しい付き合い方と、後悔しない治療選択のためのセカンドオピニオン活用術について解説します。

1. なぜ今、「かかりつけ医」が最強のパートナーなのか

「かかりつけ医」とは、単に風邪薬をくれる近所の医者のことではありません。あなたの健康状態、家族構成、生活環境までを把握し、「健康のコンシェルジュ」として機能してくれる医師のことです。

メリット①:全体を見てくれる「総合力」

大病院の専門医は「心臓」や「胃」といった「臓器」を診ますが、かかりつけ医は「あなた自身」を診ます。 「胃が痛い」と言って受診しても、実は心臓の病気が隠れているかもしれません。普段のあなたの血圧や顔色を知っているかかりつけ医なら、こうした微細な変化に気づきやすく、適切な専門病院へ橋渡しをしてくれます。

メリット②:大病院への「プラチナチケット」になる

現在、紹介状なしで大病院(特定機能病院など)を受診すると、初診料とは別に「選定療養費(7,000円以上)」がかかるケースが増えています。 かかりつけ医の紹介状があれば、この費用がかからないだけでなく、大病院での診察予約もスムーズに取れ、無駄な待ち時間を削減できます。

メリット③:将来の「在宅医療」への布石

もし将来、通院が困難になった場合、往診や訪問診療をお願いできるのは、長年信頼関係を築いてきたかかりつけ医です。 「最期は自宅で」と願うなら、元気なうちから地域医との関係を作っておくことが必須条件となります。


2. 誤解だらけの「セカンドオピニオン」

「かかりつけ医」が日々の守り神だとしたら、人生の岐路で羅針盤となるのが「セカンドオピニオン」です。

しかし、多くの日本人がこの制度を誤解しています。 「先生を信頼していないようで失礼だ」 「怒らせてしまうのではないか」 そう思って言い出せず、モヤモヤしたまま手術を受けてしまう人が少なくありません。

セカンドオピニオンの正しい定義

セカンドオピニオンとは、「病院を変えること(転院)」ではありません。 現在の主治医の診断や治療方針について、「別の医師の意見を聞きに行くこと」です。 意見を聞いた後は、また元の主治医のところに戻り、「A先生はこう言っていました」と報告し、最終的にどうするかを自分で決めます。

どんな時に使うべき?

風邪や軽い怪我で使うものではありません。主に以下のような重大な決断が必要な時です。

  • 「がん」と診断され、手術か放射線治療か迷っている時。

  • 「手術しか方法がない」と言われたが、他に方法がないか知りたい時。

  • 提示された治療法のリスクや副作用が心配な時。


3. 注意! 「ドクターショッピング」になっていませんか?

セカンドオピニオンと似て非なる危険な行動が、「ドクターショッピング(青い鳥症候群)」です。

これは、自分の気に入る診断(「あなたは病気じゃないですよ」など)が出るまで、紹介状も持たずに次々と病院を渡り歩く行為です。

ドクターショッピングの弊害

  1. 検査の重複: どの病院でも初診扱いとなり、同じCTや血液検査を繰り返すことになり、体への負担も医療費も嵩みます。

  2. 情報の分断: 前の病院での経過が次の医師に伝わらないため、正しい診断が遅れるリスクがあります。

  3. 薬の飲み合わせ(ポリファーマシー): 複数の病院から似たような薬が出され、副作用のリスクが高まります。

「セカンドオピニオン」は、主治医の紹介状(これまでの検査データ全て)を持って、堂々と別の専門医に意見を聞きに行く行為です。コソコソと病院を変えるドクターショッピングとは明確に区別しましょう。


4. 失敗しない「セカンドオピニオン」の受け方 3ステップ

では、実際にセカンドオピニオンを受けたいと思った時、どうすれば主治医と角が立たずにスムーズに進められるでしょうか。

ステップ①:主治医に「相談」として切り出す

いきなり「紹介状を書いてください」と言うのではなく、まずは相談ベースで話しましょう。

【魔法のフレーズ】 「先生の診断は信頼していますが、家族とも相談して、納得して治療に進みたいのです。一度、別の専門家の意見も聞いてみたいのですが、ご協力いただけますか?」

まともな医師であれば、これを拒否することはありません。むしろ、現代の医療では推奨されています。もしここで激怒するような医師なら、その時点で信頼関係を見直すべきかもしれません。

ステップ②:データを受け取る

主治医から「診療情報提供書(紹介状)」と、検査画像(CD-ROMなど)、検査結果のコピーを受け取ります。これがあれば、次の病院でイチから検査し直す必要がありません。 ※セカンドオピニオンは基本的に「自費診療(保険適用外)」です。30分〜1時間で1万〜3万円程度が相場ですので、事前に確認しましょう。

ステップ③:聞くことをメモしていく

限られた時間で有益な意見を聞くために、質問リストを用意していきましょう。

  • 「今の治療方針以外に選択肢はあるか?」

  • 「もし先生が私の家族なら、どの治療を勧めるか?」

  • 「提案された手術のメリット・デメリットは?」


5. 良い「かかりつけ医」の見つけ方

最後に、全てのベースとなる「かかりつけ医」の選び方です。 「名医」である必要はありません。重要なのは「相性」「距離」です。

チェックポイント

  • 話を聞いてくれるか: パソコンの画面ばかり見て、こちらの顔を見ない医師はNGです。

  • 説明がわかりやすいか: 専門用語を並べ立てず、噛み砕いて説明してくれるか。

  • 通いやすい場所か: どんなに良い先生でも、電車で1時間かかるところは続きません。徒歩やバスですぐ行ける範囲で探しましょう。

まずは「小さな不調」で受診してみる

いきなり「私のかかりつけ医になってください!」と言う必要はありません。 予防接種、健康診断、あるいは軽い風邪の時に受診してみて、「この先生なら話しやすいな」と感じたら、そこを「マイ・クリニック」と決めれば良いのです。


まとめ:医療の主役は「医師」ではなく「あなた」

「お医者様に任せておけば安心」という時代は終わりました。 これからは、「自分というチームの監督は自分」という意識が必要です。

  • コーチ(助言役): 地域のかかりつけ医

  • 特別コーチ(専門家): セカンドオピニオン先の医師

この布陣を整えることで、納得のいく医療を受けることができます。 「先生に悪いから」と遠慮して、自分の命や健康を犠牲にする必要はどこにもありません。まずは、近所のクリニックに「お試し受診」に行くことから、あなたの医療チーム作りを始めてみませんか?

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