葬儀・お墓、そして相続。家族に「ありがとう」を伝える終活の準備

終活とは、人生の最期に向けて行う活動、事前準備のことです。 今後の介護や医療についての意向、亡くなったときの葬儀やお墓に関すること、亡くなった後の遺産相続、身の回りの物品や財産を整理する生前整理など人生の最期を意識して準備を行うことをまとめて終活と言われています。

今回は、終活の意味や終活に関連して行うべき事柄などを説明していきます。終活のことがよくわからない人や、これから終活を行おうとしている人、または終活に興味のある人は、ぜひ一度本記事に目を通してください。

終活イメージ画像

終活の意味とは?

終活とは、葬儀やお墓のことなど、自分が他界した後のことをあらかじめ考え、決めておくことで残りの人生を充実させるという活動です。亡くなった後だけでなく、例えば介護など生前のことから、相続や遺品整理といった死後に遺された家族にかかわることまで、一連の流れで考えます。

終活という言葉が誕生した当時は、各地で終活に関連したイベントも開催されました。これらのイベントでは葬儀社だけでなく、介護など地域の専門家も集まり、協力し合って地域の高齢者を支えていこうという趣旨のものが多数ありました。

終活をするメリット

残された家族の負担を軽くする

自分が亡くなった後には、葬儀の手配や遺産相続、場合によっては遺産分割協議などの手続きに追われます。また、相続によって相続税が発生する場合は、決められた期限までに相続税を申告し、納税しなければなりません。

相続時には、亡くなった人の財産がどのくらいあるのかを把握する必要がありますが、どこにどのくらいの財産があるのかを把握するためには、法的な手続きを行わなければいけなくなる場合もあり、時間がかかります。

しかし、終活によってその内容をエンディングノートなどに明記しておけば、残された家族はどのくらいの財産があるのかを調べる手間が省けます。

また、どのような葬儀を行ってほしいのか、亡くなったときに知らせるべき人がいるのかなどがエンディングノートに記されていれば、迅速に行動できるでしょう。

遺産相続のトラブルを防ぐことができる

相続が発生した際には、被相続人の遺産が分割されますが、その内容に納得しない相続人がでてくることも珍しくありません。

特に相続の際には負の資産(ローンなど)も相続する必要があるため、残された財産の内容によっては相続放棄を考える人もでてくるでしょう。

複数人で遺産を相続する場合には、相続人全員でどのように遺産を分けるのかを話し合う遺産分割協議が必要ですが、明確な故人の意思が分かるものがあれば、その内容にできるだけ沿った形での話し合いが可能です。

もちろん、終活を行うなかで遺言書の必要性を感じたなら、早めに遺言書の作成にも取りかかるようにしましょう。

老後の不安を解消できる

終活は自分の人生の終わりのことだけを考える活動ではありません。
老後に介護が必要になったときにはどのようにしてもらいたいか、また認知症になったときなどの対応についても考える必要があります。あわせて、介護にかかる費用のことも考えなければなりません。

終活を行うことで、老後に対する漠然とした不安を明確にでき、さらに家族と話し合うことで不安を解決できるというメリットもあります。

あまり先のことを考えても意味がないと思うかもしれませんが、自分が置かれている状況は日々変化するため、今の時点でどう思っているかを伝え、話し合うことが大切です。

終活で準備すること

終活で準備しておくことを確認していきましょう。
全てを一度にやるのではなく、自分ができそうなものや関心の高いものから始めていくのでも、問題ありません。

エンディングノートを書く

エンディングノートとは、もしものときに備えて自分の人生の最期について希望や思いを記しておくノートです。
エンディングノートがあれば、遺された家族にこれまでの感謝を伝えることができますし、必要情報をまとめていれば家族への負担を減らせます。

エンディングノートは遺言書と違い、法的拘束力はなく決まった形式もありません。
お手持ちのノートなどをエンディングノートにしても良いですが、自治体で配布しているものや書店や文房具店で販売されているものを使用しても良いでしょう。

老後資金の計画を立てる

平均寿命が延びつつある中で、老後資金に不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
自分が元気なうちに老後資金の計画を立てておくと安心できますよ。

「自分にどれだけ老後資金が必要かわからない」「老後資金が足りているのかわからない」とお悩みの方は、「今の生活費」「現在の貯蓄額」「もらえる年金額」などを調べてみましょう。生活費のうち年金で補いきれない部分は貯金を切り崩していくことになります。

老後資金が用意できていれば、予算内で希望に合わせ残りの人生を過ごしていけます。
反対に老後資金が足りない可能性があるならば、自宅を担保にした借入や自宅のリースバックなどを検討する必要があるかもしれません。

自分の持ち物を整理しておく

自分の持ち物を整理して、すっきりした状態にしておくのも終活準備のひとつです。
身の回りの整理は、具合が悪くなり思うように身体が動かなくなってからでは難しいので元気なうちから取り組んでおくことをおすすめします。自分の持ち物を整理しておけば、遺された家族が遺品整理を行うときの手間を減らせます。

また最近では様々な情報をデジタルで管理する機会も多いです。
目に見える持ち物だけでなく、デジタルデータの整理も進めておきましょう。

相続対策や遺言書の準備をしておく

遺された家族に財産を引き継ぐために相続対策や遺言書の準備をしておきましょう。
相続対策や遺言書の準備をしておくと、以下のメリットがあります。

  • 遺された家族の相続税の負担を減らせる
  • 遺された家族の相続手続きの手間を減らせる
  • 遺された家族間で相続トラブルを防止・低減できる
  • 自分の希望通りの相続を行える

「自分の家族は仲が良いから相続で揉めない」なんて考えずに、どんな財産をどれだけ持っているか、それらを誰に相続させたいのかを明確にし、遺言書を準備しておきましょう。

葬儀やお墓の準備をしておく

近しい人や親族だけを呼ぶ家族葬などが増えつつあり、様々な種類のお葬式が行われるようになりました。
お葬式の種類が増えたことによって、遺された家族は「どんな規模のお葬式を行えば良いのだろう」と迷ってしまうケースもあります。

遺された家族が「良いお葬式ができた」「故人の希望通りに見送ってあげられた」と思えるように、お葬式やお墓の準備もしておきましょう。

介護や入院の準備をしておく

高齢化に伴い、以前よりも長期にわたる介護や入院生活を送る高齢者が増えてきています。
自分が倒れたときや認知症になってしまい判断能力を失ったとしても、家族が困らないように必要な準備をしておきましょう。

  • かかりつけの病院に関する情報をまとめておく
  • いつも飲んでいる薬の情報をまとめておく
  • 自分が入居したい介護施設があれば調べておく
  • 介護施設の見学を行う

延命治療について決めておく

自分の人生の最期について、希望をまとめておくと家族の心理的な負担を減らせます。
特に生死に大きな影響を与えるであろう延命治療や終末期医療に関しては、家族が決断しようとしても、家族間の中でも意見が割れ揉めてしまうケースもあります。

延命治療や終末期医療に関しては、想像しにくい、はっきりと希望を決められない方もいるかもしれません。
その場合は今の時点の希望でも良いので、エンディングノートに書いておくと安心です。

やりたいことリストをつくる

これまで紹介した準備の他に、残りの人生を楽しむためのやりたいことリストも作成してみてください。
内容は人に見せる必要もありませんし、他人と比べる必要もないので、自分に正直な気持ちでリストを作ってみてはいかがでしょうか。
リストが完成すれば毎日の生活に張り合いが生まれ、より行動的になれるかもしれませんよ。

まとめ

終活は自分の人生を見直すきっかけになり、その後の人生を有意義に生きるための準備でもあります。
終活はリタイア後から始めると考えている人も多いですが、もっと早くから始めることで得られるメリットもあります。

終活の意味や、やるべきことを理解したうえで、自分に合った終活を行うことを考えてみましょう。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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