60代夫婦のための保険選び

60代は多くの方が定年退職を迎え、老後・退職後のセカンドライフとお金について考える年代。
本記事では、60代の保険の必要性や、平均保険料をチェックしつつ、この年代で備えておきたいリスクや選び方など、保険のお悩みについて解説します。

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60代での保険の必要性について

60代になったらもう保険は不要では?と感じる人も多いと思いますが、健康状態やライフスタイルの変化が伴い、生命保険の必要性は高くなります。

60代の保険加入率

生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると60代の生命保険加入率は男性85.8%、女性86.5%と、男女ともに85%を超えています。これは、1996年以降もっとも高い加入率であり、60代以降も保険は必要と考えている人が多いことがわかります。

60代が備えたいリスク

一般的に年齢を重ねると身体機能の低下によって、病気やケガで入院したり手術を受けたりするリスクが高まります。厚生労働省の調査によると、60代の方が入院したり外来に通ったりする割合である受療率は、以下の通りです。

  60~64歳 65~69歳 全年齢
入院 男性 983 1,320 893
女性 695 924 995
総数 838 1,117 945
外来 男性 5,571 7,799 5,118
女性 7,055 8,401 6,544
総数 6,320 8,108 5,850

例えば、60代前半の男性の人口が10万人いると仮定する場合、そのうちの983人が入院し、5,571人が外来に通院していることを意味します。

60代の場合、入院の受療率は男性のほうが高いですが、反対に外来の受療率は女性のほうが高い傾向にあります。

60代の入院理由

厚生労働省のデータでは、60代の入院理由は男女とも認知症やパーキンソン病などが含まれる「精神および行動の障害」が1位。また50代と比べ、がんなどの「新生物」のリスクが一気に高まり男女ともに2位になります。心疾患や脳血管疾患などの「循環器系の疾患」も上昇しており、これまでの生活習慣に起因する病気のリスクに注意が必要になると思われます。

男性の入院理由 女性の入院理由
順位 傷病の種類 人数(千人) 順位 傷病の種類 人数(千人)
1 精神および行動の障害 35.1 1 精神および行動の障害 29.7
2 新生物<腫瘍> 20.5 2 新生物<腫瘍> 12.2
3 循環器系の疾患 19.6 3 循環器系の疾患 9.4
4 損傷,中毒およびその他の外因の影響 8.1 4 損傷,中毒およびその他の外因の影響 7.3
5 神経系の疾患 7.9 5 神経系の疾患 6.8

60代の死因

60代の死因の上位は一般的に「がん」と言われる悪性新生物<腫瘍>となっています。男女とも生活習慣病が引き起こす心疾患や脳血管疾患なども上位となっており、日常的に健康に注意する必要があります。

男性の死因 女性の死因
悪性新生物<腫瘍> 悪性新生物<腫瘍>
心疾患 心疾患
脳血管疾患 脳血管疾患
肝疾患 不慮の事故

60代からは生活習慣病や三大疾病(がん・脳血管疾患・心疾患)などの大きな病気のリスクが増加。また親の介護が始まったり、思いがけず自分自身が介護を必要とすることもあるため、料金だけではなく保障内容をよく比較して保険を選んだり、見直したりする必要があります。

60代が支払っている生命保険の保険料は毎月いくら?

以下は生命保険文化センターの調査をもとに、60代の生命保険加入金額(死亡保障額)や入院給付金額、払い込み保険料の平均を男女別に表したものです。

  60代全体 男性 女性
生命保険の平均死亡保障額 957万円 1,071万円 507万円
平均入院給付金額 8,900万円 9,600万円 8,300万円
平均払い込み保険料

年間:約17.9万円

月額:約14,916円

年間:約21.2万円

月額:約17,666円

年間:約15.9万円

月額:約1,3250円

60代の平均払込保険料は、男性が年間約21.5万円(月額約17,917円)、女性が年間約16.6万円(月額約13,833円)、男女を合わせると年間約18.7万円(月額約15,583円)です。

60代夫婦の保険の見直しポイント

60代夫婦のみでの場合、保険選びは主に老後に向けた必要保障の確保を目的に選びましょう。生活習慣病に備えて、終身タイプの医療保険やがん保険がおすすめですが、将来的にも保険料の支払いが続くものについては、その支払いが問題なく行えるかも考えましょう。また、年齢を重ねるにつれて骨折や認知症などで介護が必要になるリスクは高くなり、いざ必要になった時に加入できない可能性もあるため、介護保険を早めに検討しておきましょう。

入っておきたい保険

終身タイプの医療保険

葬儀費用やお墓代のような、最低限の死亡保障を準備しながら老後資金を準備していきたいのであれば、終身保険が選択肢となります。

これまでの終身保険は、契約者が保険料を円で支払い、保険会社が円のまま運用する円建てが主流でした。
しかし、低金利が進む現在では円建て終身保険に加入しても、あまり高い利回りは期待できません。

そこで「外貨建て終身保険」や「変額保険(終身型)」といった商品も増え、選択肢が豊富になっています。

介護・認知症保険

民間保険会社が取り扱う介護保険は、所定の介護状態に該当すると「介護一時金」や「介護年金」を受け取れる保険です。

保険金が支払われる要件は、公的介護保険制度の要介護認定と連動しているものや保険会社独自で定めるもの、あるいは両方が採用されている場合があります。

また、認知症に手厚く備えたい方は「認知症保険」を検討してみましょう。
認知症保険であれば、要介護認定を受けなくても認知症と診断された場合や、軽度認知障害(MCI)と診断された場合に保険金が支払われる場合があります。

がん保険

がん保険は、がんの保障に特化した保険です。がんと診断された時やがんによる入院・手術をした時、がんの通院治療を受けた時に給付金を受取れます。

現代では、日本人の2人に1人が生涯のうちに何らかのがんにかかる※といわれており、60代以降になると、がんの罹患率も高くなります。がんの治療に高額な費用がかかる場合もあり、経済的な負担を伴うことも少なくありません。

がんによる経済的負担に備えたい場合は、がん保険について加入や保障内容等の見直しを検討してみましょう。

まとめ

60代になったら、健康や老後に不安を感じる方も少なくないでしょう。病気になったとしても安心して治療に臨めるよう、医療保険やがん保険への加入や、保障内容の見直しが大切です。また、ライフステージが変われば、必要な保障は変わります。この機会に保障内容をチェックし、保険の見直しや新規加入を検討するとよいでしょう。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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