葬儀保険とはどのような保険?特徴や注意点について解説
葬儀保険という保険があるのをご存じでしょうか?
近年、葬儀費用の負担を家族にかけたくないという思いから、葬儀保険(終活保険)への加入を検討する方が増えています。
今回は、葬儀保険の基本的な仕組みや、葬儀費用に保険で備える必要性、葬儀保険のメリット・デメリット、選ぶ際のポイント、葬儀保険を利用する以外で葬儀費用に備える手段等について解説します。
葬儀保険とは?
葬儀保険とは、葬式を行う際に必要な費用をまかなうための保険であり、少額短期保険のひとつです。一般的な死亡保険などと比べて少額の保険料で、葬儀費用50万~300万円程度を準備できます。
少額短期保険とは
「少額短期保険」とは、保険金の上限が定められており、通常は最大でも300万円程度までの保障しか受けられない保険のことを指します。
葬儀費用の相場は、一般的には100万〜200万円前後です。そのため、葬儀保険は「少額短期保険」の枠内で設計されています。保障金額が限定されているため、リスクも相対的に低く、その結果、保険料も安価に設定されています。
葬儀保険のメリット
一般的な生命保険に比べて保険料が安価
葬儀保険は、葬儀費用50万円~300万円を準備する為の保険であることから、月々の保険料も一般的な生命保険に比べて安価です。一般的な葬儀保険の掛け金は、契約者の年齢やプランによっても前後しますが、月々約2,000円から3,000円程度が相場となっています。
高齢者でも加入しやすい
生命保険には、加入できる年齢に75歳まで等の制限があるのが一般的です。一方、葬儀保険は80歳を超えても加入できる保険商品が多数あります。商品によっては89歳までなら加入できることもあるため、他の生命保険などに入ることができなくなっている場合でも役立つでしょう。
すぐに保険金が支払われる
保険金の支払いが早いことも、葬儀保険に加入するメリットのひとつです。中には、死亡保険金請求書類が会社に到着した日の翌日から起算して5営業日以内で保険金の支払いに対応しているケースが多く、最短で翌営業日には振り込まれる商品もあります。
健康状態の告知が必要ない
葬儀保険には告知や医師の診査が不要な保険商品が多くあり、健康上の不安があっても加入しやすい点が、メリットといえるでしょう。葬儀保険には告知型と限定告知型があり、限定告知型の場合、審査での質問事項は特に少なく、持病があっても加入しやすいですが、保険料は一般的に告知型より割高です。
葬儀保険のデメリット
掛け捨て型の保険なので解約返戻金がない
葬儀保険は掛け捨て型のため、貯蓄性がないことがデメリットといえます。貯蓄性のある生命保険に比べて保険料は割安ですが、契約期間中に解約しても、払込んだ保険料に見合った解約返戻金を受取ることはできません。
年齢に応じて保険料が上がったり保険金の額が下がったりする
葬儀保険は、加入する年齢や契約時期によって、保険料の負担が大きくなる場合があります。高齢で加入すると、保険事故の確率が高まるため、月々の掛け金や支払総額が上昇する傾向があります。一方で、比較的若いうちに加入してしまうと、長期契約となり支払総額が大きくなるリスクもあります。
葬儀保険の主な種類は2つ
葬儀保険には、大きく分けて「保険金定額型」と「保険料一定型」の2種類があります。それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
保険金定額型
月々支払う保険料が更新時の年齢によって増えても、受け取る保険金は変わらないのが保険金定額タイプです。例えば、保険金額は100万円という契約のまま、49歳で月々の保険料が1,200円、50歳から1,760円に上がるなどのタイプです。
加齢に伴って支払う保険料がアップしても、受け取る保険金は一定なので、手厚い保険金が欲しい方におすすめです。
保険料一定型
年齢に応じて受け取る保険金が減っても、月々支払う保険料は変わらないのが保険料一定タイプです。例えば、保険料は毎月1,000円という契約のまま、64歳まで保険金55万円、65歳から45万円に減るといった葬儀保険となります。
保障よりも加齢に伴う経済的な負担を軽減したい、または葬儀費用の一部をカバーしたい人におすすめです。
葬儀保険の選び方
葬儀保険の選び方のポイントとして、まずは必要な費用から保険金額を考えることが大切です。
次に、保障内容が自分の希望と合っているか、すでに加入している保険と内容が重複していないかを考えましょう。
また、安心して加入できるかも重要な観点です。生命保険会社が破綻した場合は、保険契約者保護機構のようなセーフティネットがありますが、少額短期保険業者は対象外です。
そのため、経営的に安定している少額短期保険業者を選ぶ必要があります。財務諸表が公開されていれば内容を確認したり、インターネットで信用できる口コミ・評判を参考にしたりと幅広く情報収集を行ってみてください。
まとめ
葬儀保険は、万が一に備えて葬儀費用を迅速に用意できる、終活の有用な手段です。高齢者でも加入しやすく、掛け金もリーズナブルに設定されています。一方で、保険金の支払いタイミングや掛け捨て型のリスク、途中解約時の返戻金の有無、さらには税務上の取り扱いや告知義務など、知っておくべき注意点もあるので、予め覚えておくと良いでしょう。