知っておきたいシニア世代の保険
定年を間近に控えた年代や既に定年を迎えた年代の方は、ライフステージが変わり、保険で備えるべきリスクや必要な保障内容も変化してきます。
今回は、シニア世代になってから備えるべきリスクや保険を見直す際のポイント、そしておすすめの保険について解説していきます。
シニア世代の保険について
医療保険の中には、高齢者世代を対象にした「シニア保険」が存在します。一般的にシニア保険とは、若いころとは医療保険の選び方が変わってくる50歳以上を対象にしている保険です。
加入時の告知事項が少ないのが特徴で、過去に病歴がある場合でも加入しやすいように設計された医療保険になります。
シニア世代が備えるべきリスク
シニア保険を選ぶ際のポイントは、年齢や家族構成、経済状況の変化に合わせて、必要な保障内容と保険料のバランスを考慮することです。特に、死亡保障は若い頃に比べて必要性が低くなる一方で、医療や介護への備えが重要になります。
万が一の死亡リスクに備える
シニア世代になると、病気やケガによる死亡リスクが上がるため、死亡に対する備えの必要性も高くなります。
ただし、シニア世代に入る方の多くは、子供がすでに独立する年齢に達していることも多く、基本的に手厚い死亡保障は必要ありません。
シニア世代の方が万が一のリスクに備える場合、以下の点を考慮しながら死亡保障額を決めましょう。
・葬儀費用や死後の整理費用
・遺された配偶者や家族の生活費
病気・ケガのリスクに備える
60代がかかりやすい病気は、悪性新生物(がん)や心疾患、脳血管疾患に加え糖尿病や腎臓病、肺炎、認知症などがあげられます。
60代は定年によってそれまで会社で受けていた定期検診を受けなくなることで病気を早期発見できないケースが増えるため注意が必要です。また転倒による骨折で介護が必要になるケースも少なくありません。
ご自身が病気やケガになったときに、公的医療保険や預貯金で医療費をカバーできるかどうかを考えて、必要に応じて医療保険やがん保険に加入しておきましょう。
シニア世代が保険を見直す際のポイント
シニア世代が保険を見直す際の主なポイントは、現在加入している保険の保障内容の確認、死亡保障の減額、医療保険や介護保険の必要性の見直し、保険料が家計の負担になっていないかの確認、そして必要に応じて新しい保険への加入や見直しです。
死亡保険の保障内容は適切か確認する
死亡保険は、被保険者が死亡した場合に死亡保険金、所定の高度障害状態になった場合に高度障害保険金が支払われる保険で,
主に亡くなったあとの家族のために加入します。
死亡保険は子育て世代で数千万円の保障が必要となりますが、そのほかの世代で高額な死亡保障は不要であるのが一般的です。
シニア世代が死亡保険を見直す際には以下の点に注意しましょう。
・保険料は家計の状況と照らし合わせて適正額か
・保障額に過不足はないか
・保険金受取人は適切か
・保険金の使い道は明確か
医療保険の保障内容は十分か確認する
シニア世代にとって、これから病気やケガで治療を受ける可能性が高まり、医療費の負担が懸念されるため、医療保険は重要です。
シニア世代であれば、すでに加入している人も多いかと思いますが、様々な理由で医療保険に未加入の人もいるかもしれません。
そんな方々の中で特に既契約がある場合には、次のパターンに注目してみてください。
・既契約の医療保険を継続する
・既契約に新規契約の医療保険を上乗せする
・既契約は解約し、新しく医療保険に加入する
既契約の保障内容次第ではありますが、割安な保険料で加入している場合は、新規で加入するより継続したほうがよいでしょう。
ただし、保障が不十分であり心配な場合は、既契約の医療保険はそのままで、新しい医療保険に加入することをおすすめします。
終身型か定期型、入院日額タイプか一時金タイプなど、自分に合ったタイプで選ぶとよいでしょう。
シニア世代が新たに加入するべき保険とは
少額短期保険(葬儀保険)
少額短期保険とは、以下のように保険期間が短く保障額も少ない保険のことです。
・保険金:300〜1,000万円
・保険期間:1〜2年
少額短期保険は、葬儀費用の準備に特化した葬儀保険が販売されています。
葬儀保険は加入できる年齢が通常の死亡保険よりも高めに設定されており、加入時に医師の診断書が不要な場合もあるため、通常の死亡保険と比較して加入しやすい保険です。
がん保険
がん保険は、 がんと診断された場合や、がんによる専門治療を受けた場合に保険金・給付金が支払われる保険です。
入院給付金や手術給付金については、がん治療のための入院や手術のみが保障の対象となります。
近年では、通院による放射線治療や抗がん剤治療を受ける方が増えています。
そのため、がん保険においても、がんと診断された場合だけでなく、通院によるがん治療を受けた場合や、がんが再発した場合も保障する商品が主流です。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険は、通常の生命保険や医療保険よりも告知の項目が少なく保険会社の引受基準も緩い傾向にあり、健康状態に不安がある人でも申し込みやすい保険です。
近年では、死亡保険や医療保険など様々な商品が販売されています。
しかし、引受基準緩和型保険は加入してから1年ほどは、保険金や給付金が削減されるだけでなく、保険料も通常の生命保険や医療保険より割高な点に注意が必要です。
まとめ
今回は、シニア世代になってから備えるべきリスクや保険を見直す際のポイント、そして新たに加入するべき保険について解説しました。
シニア世代になると、若い時と比べて病気や怪我などの健康リスクが高まってきます。
また、子供の独立などでライフステージの変化に伴い、保障の必要額にも変化があるため、保険の内容を見直す必要があります。
入院や治療に備えて医療保険を手厚くし、反対に死亡保険の保障を減らすことが挙げられますが、実際に必要な保障内容は個人の事情によって変わります。
もし、保険の見直しを一人で行うのが不安だという方がいれば、保険のプロに相談することをおすすめします。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、シニア世代に必要な保険について検討していくことができるでしょう。