遺産相続を弁護士に依頼するメリットや相談するタイミングとは?
遺産相続は、人生において避けては通れない重要な手続きの一つです。
しかしそのプロセスは複雑で、精神的負担を伴うことが多く、親族間での意見の対立、さらには法的な問題に発展するケースも少なくありません。
そんな中、弁護士に依頼することでスムーズに遺産相続を進められることが可能です。
今回は遺産相続を弁護士に依頼する際とメリットや相談するタイミングについてどこよりもわかりやすく解説します。
弁護士に依頼をするメリット
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遺産相続を弁護士に依頼する際のポイント
遺産相続は、相続人の間で意見が対立したり、連絡先すら知らない相続人がいる場合もあり大変複雑です。そのため遺産分割協議を進められず、何一つ進展しないこともあります。そのような場合、弁護士の専門的な知識とサポートが不可欠です。では、遺産相続時にはどんな弁護士を選べばよいのでしょうか。
こちらでは遺産相続を弁護士に依頼する際のポイントについて解説します。
①相続問題への経験と実績がある
遺産相続を弁護士に依頼する際、相続問題への経験と実績がある弁護士を選ぶことが重要です。
一口に弁護士といっても、それぞれ得意分野が異なります。
相続問題は、遺言書の作成、遺産分割協議、遺留分侵害額請求、相続税など、多岐にわたる専門知識が必要です。
相続問題に注力している弁護士であれば、最新の法改正や判例にも精通しており、適切な解決策を提案することができます。
一般的には年間で20〜30件程度の相続案件を担当していれば経験と実績がある弁護士といえます。
②わかりやすく丁寧に説明してくれる
遺産相続を弁護士に依頼する際、わかりやすく丁寧に説明してくれる弁護士を選ぶことが重要です。法律用語は難解で、一般の方には理解が難しい場合がほとんどです。
弁護士に依頼しても、法律用語だけで説明されると依頼者は状況を正確に把握できず、弁護士との間に誤解が生じる可能性があります。そうなると信頼関係が損なわれ、円滑な遺産相続が妨げられます。
わかりやすく丁寧に説明してくれる弁護士であれば、一方的な説明をすることはなく、依頼者を置き去りにすることもありません。
依頼者の理解度に合わせ、具体的な事例を交えながら誤解や認識のずれを防ぎ、ストレスのかからない説明をしてくれる弁護士だと安心感が増します。
③料金体系がはっきりしている
遺産相続を弁護士に依頼する際、料金体系がはっきりしている弁護士を選ぶことが重要です。
弁護士費用は決して安くはありません。そのため料金体系が不明瞭だと依頼者は不安です。
もし相続完了後に高額な費用を請求されると、それ自体がトラブルに発展する可能性があります。必ず、料金体系がはっきりしている弁護士に依頼することをおすすめします。
遺産相続を弁護士に依頼するメリット
遺産相続において弁護士に相談する最大のメリットは、相続人間で感情的な対立が生じた場合や、複雑な法的問題に直面した場合に、中立的な立場から法的な専門知識に基づいた適切なアドバイスと解決策を提供してもらえることです。
・紛争の予防と解決
当事者間の感情的な対立がエスカレートするのを防ぎ、法的な視点から冷静かつ客観的な解決策を提示することで、円満な遺産分割を促進します。
・複雑な手続きの代行
遺産分割協議書の作成、相続財産の調査、名義変更手続きなど、煩雑で専門的な知識が求められる手続きを代行してもらえるため、時間と労力を大幅に削減できます。
・法的権利の保護
相続人それぞれの法的権利を明確に理解し、主張できるようサポートしてもらえるため、不利益を被るリスクを軽減できます。
・精神的な負担の軽減
複雑な問題や親族間の紛争による精神的なストレスを軽減し、安心して遺産相続の手続きを進めることができます。
弁護士は紛争解決の専門家です。
相続や遺産分割に関する問題やお悩みを抱えているのであれば、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
遺産相続を弁護士に依頼する際の注意点
弁護士は相続人同士での話し合いがこじれた場合、間に入って法的な視点から妥協点を見つけたり、合意形成を促す役割を果たすことが可能です。
弁護士は相続人同士の対立を解消するための調整役として有効な存在ですが、注意点もあります。
①費用がかかる
遺産相続を弁護士に依頼すると費用がかかるデメリットがあります。
弁護士費用の内訳は相談料金、着手金、報酬、経費などですが、これらは話し合いの段階で済めば安く済ませることができます。ところが、相続人同士の話し合いがこじれ、まとまらない場合はどんどん高額になります。
弁護士費用が高額になるのは次の場合です。
- 相続財産が多い場合
- 相続人が多い場合
- 裁判になった場合
法律相談 | ||
初回法律 | 一般法律相談料 | 書面による鑑定料 |
30分ごとに5,000円~1万円前後 | 30分ごとに5,000円~2.5万円 | 特例を除き、10万円~30万円 |
得られた経済的利益 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下の場合 | 8% | 16% |
300万円~3000万円 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
3000万円~3億円 | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
3億円以上 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
②依頼内容とのミスマッチ
遺産相続を弁護士に依頼すると依頼内容とミスマッチするデメリットがあります。依頼内容とのミスマッチとは、弁護士の専門分野と依頼者のニーズが合致しないことです。
弁護士の専門性やスタイルが依頼者のニーズと合わないとさまざまなデメリットが発生する恐れがあります。依頼内容とのミスマッチによるデメリットは次の場合です。
- 期待する成果が得られない
- 時間と費用の浪費
- 相続問題の悪化
弁護士に依頼する時には、必ず事前に相談をして依頼者側の要望を実現できる弁護士であるという確証を得てから依頼することをおすすめします。
③簡単なケースでは費用が無駄になる
遺産相続を弁護士に依頼すると簡単なケースでは費用が無駄になるデメリットがあります。
複雑だと思っていた相続が実際にやってみると、意外にも簡単で素人でもやれる時があります。
そうなると弁護士に依頼した費用は無駄になるかもしれません。
簡単なケースで費用が無駄になるかもしれないのは次の場合です。
- 遺言書の内容に争いがなく、相続人全員が納得している
- 遺産分割協議がスムーズに進み、相続人全員が合意している
- 遺産の種類や量が少なく、手続きが簡単にできる
弁護士に相談するタイミングは?
弁護士に相続の相談を検討するタイミングは、状況によっていくつか考えられます。早めに相談することで、より有利に進められる可能性が高まります。具体的には以下のようなタイミングがよいでしょう。
- 遺言書の内容に納得がいかない場合
- 遺産分割協議が難航している場合
- 不動産や非上場株式など、評価が難しい財産が含まれる場合や、相続関係が複雑な場合
- 遺言書の作成や生前贈与などの対策を検討する場
- 相続財産の多くがすでになくなっていることが発覚した場合
まとめると
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今回は遺産相続を弁護士に依頼する際のメリットとタイミングについて解説しました。
遺産相続は、遺言の解釈や財産の分割を巡って親族間で争いが起こりやすい手続きなので、迷ったらまずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、法的な専門知識を活用した的確なアドバイスや、遺産分割協議の円滑な進行が期待できます。
初回相談を無料で行っている法律事務所も多くありますので、ぜひ遺産相続に詳しい弁護士に依頼してみることをおすすめします。
この記事の監修者
中澤 泉(なかざわ・いずみ)
弁護士(東京弁護士会所属)
法律事務所にて、債務整理、交通事故、離婚、相続など、幅広い市民法務を担当。その後はメーカーの法務部にて、契約審査や社内法務体制の整備など企業法務にも従事した。
また、事務所勤務時には法律事務所のウェブサイト立ち上げやコンテンツ監修にも携わった経験を持つ。
現在は、弁護士登録を維持しながらフリーランスのライター・編集者として活動し、法律分野を中心に記事の執筆・監修を行っている。
「法律をもっと身近に、わかりやすく届ける」をモットーに、専門性と伝わりやすさを両立した情報発信に取り組んでいる。