エンディングノートでは不十分！家族への「感謝のメッセージ」の伝え方

Gライフリンク編集部

中高年の暮らしや相続・遺産に関する専門メディアの編集部で主にコンテンツSEOの企画・設計を行う。

人生の幕引きに向けた準備として、「エンディングノート」を書く人が増えています。財産のこと、延命治療のこと、葬儀の希望……。これらは残された家族の負担を減らすために非常に重要です。

しかし、多くの人が書き終えてから、ある「物足りなさ」を感じると言います。 「事務的なことは伝わったけれど、私の『想い』はこれで伝わるのだろうか？」

通帳の場所や暗証番号は、生活を守るためには不可欠ですが、家族の心を支え、癒やすことはできません。残された家族が本当に欲しいのは、手続きのマニュアルではなく、あなたからの「愛と感謝の言葉」です。

この記事では、エンディングノートだけでは伝えきれない「感謝のメッセージ」を、どのように残し、伝えるべきか。その具体的な方法と、家族の絆を深める「心の終活」について解説します。

1. エンディングノートの限界：「事務連絡」で終わらせない

市販のエンディングノートを開いてみると、その大半は「資産」「医療」「介護」「葬儀」といった事務的な項目で埋め尽くされています。自由記述欄もありますが、多くの人は「争わないでね」「母さんを頼む」といった簡単な一言で済ませてしまいがちです。

葬儀の現場で、ご遺族から最も多く聞かれる後悔の言葉は、「財産の分け方を聞いておけばよかった」ではありません。 「親父は、私のことをどう思っていたんだろう」 「『ありがとう』の一言も言えずに別れてしまった」 という、感情に関する後悔です。

法的な遺言書や事務的なエンディングノートは「トラブル回避」のための道具ですが、家族の心を救うには、別のツールが必要です。

では、具体的にどのようにメッセージを残せばよいのでしょうか。おすすめの3つの方法を紹介します。

最もオーソドックスですが、最も力がこもる方法です。エンディングノートとは別に、家族一人ひとり宛てに手紙を書きます。

【ポイント】 「立派な文章」である必要はありません。飾らない言葉で、具体的なエピソード（「あの時の旅行が楽しかった」「お前の作ったカレーが好きだった」）を交えることが、読み手の心に深く響きます。

スマホで簡単に動画が撮れる時代です。文字を書くのが辛い方や、声や表情も残したい方におすすめです。

【注意点】 データの保存場所（スマホのパスワードやクラウドの共有設定など）を、信頼できる人に伝えておく必要があります。見つけてもらえなければ意味がありません。

「形見分け」の品に、メッセージを添える方法です。例えば、愛用していた時計やアクセサリーを譲る際、箱の中に小さなメモを入れておきます。

ただの「中古品」が、メッセージ一つで「プライスレスな宝物」に変わります。物を見るたびに、あなたの言葉を思い出してもらえる素敵な方法です。

メッセージを用意しても、どのタイミングで渡すかが重要です。

エンディングノートと一緒に保管し、「私が死んだら読んでほしい」と伝えておくパターンです。

古希や喜寿のお祝い、金婚式などの節目に、「これまでの感謝」として手紙を読み上げたり、手渡したりします。

おすすめは、「短い感謝は今すぐ伝え、深い想いは手紙に残す」というハイブリッド型です。「ありがとう」は、生きているうちに何度言っても減るものではありません。

もし、「何を書けばいいか分からない」と筆が止まってしまったら、自分自身にこう問いかけてみてください。

「この家族と過ごした中で、一番嬉しかった瞬間はいつだろう？」

そのエピソードを思い出し、「あの時は本当に嬉しかった。ありがとう」と書くだけで、それは世界に一つだけの素晴らしいメッセージになります。

お金や不動産は、使えばなくなります。しかし、「自分は愛されていた」「親は幸せだったんだ」という確信は、残された家族の心に一生残り、辛い時に彼らを支える力になります。

エンディングノートの最後のページ、あるいは別の一枚の便箋に、あなたの心を書き記してください。完璧でなくて構いません。震える文字でも、拙い表現でも、そこに「感謝」があれば、それは家族にとって何億円もの遺産より価値のある宝物になるはずです。

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