「サ高住」と「有料老人ホーム」の違いは? 入居費用の比較と選び方

親の介護や自身の老後を考え始めたとき、最初にぶつかる壁が「施設の種類が多すぎて違いがわからない」という問題です。

特に、パンフレットや外観が似ている「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」「有料老人ホーム」。 「どっちも高齢者が住む場所でしょ?」と思われがちですが、実は契約形態やライフスタイル、そして「お金のかかり方」が全く異なります。

この違いを知らずに入居してしまうと、「思ったより不自由だった」「介護度が上がったら退去を迫られた」「料金が跳ね上がった」といった後悔に繋がりかねません。

この記事では、サ高住と有料老人ホームの決定的な違いと、費用シミュレーションを通じた「失敗しない選び方」を徹底解説します。

1. ひとことで言うと何が違う? 「住まい」vs「施設」

最大の違いは、そこが「家」なのか「施設」なのかという点です。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)

  • 定義: 「バリアフリーと見守りがついた賃貸マンション」

  • 契約: 建物賃貸借契約(アパートを借りるのと同じ)

  • 特徴: 基本的に「自立〜軽度」の人が対象。自由度が高く、外出や来客も自由。介護が必要になったら、外部のヘルパーさんなどを個別に契約して利用します。

有料老人ホーム(特に「介護付」)

  • 定義: 「食事・介護・家事がセットになった生活施設」

  • 契約: 利用権契約(ホテルのようなサービスの利用権を買う)

  • 特徴: 「要介護」の人が対象の中心。24時間スタッフが常駐し、掃除・洗濯・入浴・排泄などのケアを施設のスタッフが丸ごと提供します。

イメージの違い

  • サ高住: 「見守り付きのマンション」に住み、必要な時だけサービスを頼む。

  • 有料老人ホーム: 「食事もケアも全部お任せ」の環境で暮らす。


2. 徹底比較! サービスと自由度の違い

両者の違いを表で整理してみましょう。

比較項目 サ高住(一般型) 有料老人ホーム(介護付)
主な対象 自立 〜 要介護度の低い人 要介護度の高い人(認知症含む)
自由度 高い(外出・外泊・飲酒など自由) 制限あり(門限や規則がある場合が多い)
部屋の設備 キッチン・浴室・トイレ完備が多い トイレ・洗面のみ(浴室は共同)が多い
介護サービス 「選択制」(外部の訪問介護を利用) 「包括制」(施設のスタッフが対応)
看取り対応 施設による(対応不可の場合も) 対応可能な施設が多い
退去リスク 介護が重くなると住み続けられない場合あり 終身利用が可能(看取りまで)

ここが落とし穴!「介護」の仕組み

最も注意すべきは介護の提供方法です。

  • サ高住では、介護が必要になったら「訪問介護」や「デイサービス」を別途契約します。つまり、「使った分だけ料金がかかる」仕組みです。

  • 介護付有料老人ホームでは、介護費用は「定額(介護保険の1割〜3割負担)」です。何度ナースコールを押しても、夜中にトイレ介助を頼んでも、追加料金はかかりません。


3. 「費用」はどっちが得? 入居金と月額コスト

「サ高住の方が安い」というイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。介護度によって逆転現象が起きます。

① 初期費用(入居時にかかるお金)

  • サ高住: 安い(敷金・礼金として家賃の数ヶ月分程度)。

  • 有料老人ホーム: 高い傾向(「入居一時金」として数百万円〜数千万円かかることも。※最近は0円プランも増えています)。

② 月額費用(毎月かかるお金)

家賃や管理費、食費の合計は、どちらも15万〜25万円程度が相場ですが、ここに「介護費用」がどう乗ってくるかがポイントです。

【シミュレーション:要介護3の場合】

  • 有料老人ホーム(介護付)の場合:

    • 介護費用は「定額」なので、介護保険の自己負担額(約2.7万円)で固定されます。

    • 総額の目安が立てやすい。

  • サ高住の場合:

    • 訪問介護などを「使った分だけ」払います。

    • 要介護3で頻繁にヘルパーを頼むと、支給限度額を超えてしまい、超えた分は全額自己負担になります。

    • 結果的に、有料老人ホームより高くなるケースがあります。

結論:お金の分岐点

  • 「自立〜要介護1」くらいまでなら、必要なサービスだけ選べる「サ高住」が割安。

  • 「要介護3以上」になり、頻繁なケアが必要なら、定額制の「有料老人ホーム」の方が安心で割安になることが多い。


4. あなたに合うのはどっち? 選び方のチェックリスト

迷っている方は、以下の基準で判断してください。

【サ高住】がおすすめな人

  • [ ] まだ元気で、自分のことは自分でできる。

  • [ ] 外出や旅行、趣味を自由に楽しみたい。

  • [ ] 部屋にお風呂やキッチンが欲しい(自炊したい)。

  • [ ] 初期費用を抑えて引っ越したい。

  • [ ] 夫婦で入居したい(2人部屋やコネクティングルームがある)。

【有料老人ホーム】がおすすめな人

  • [ ] 食事や掃除などの家事が負担になってきた。

  • [ ] 夜間のトイレや緊急時の対応に不安がある。

  • [ ] 認知症の症状があり、常に見守りが必要。

  • [ ] 介護度が上がっても、転居せずに最期まで同じ場所にいたい。

  • [ ] 毎月の支払額を一定にしたい(予算管理を楽にしたい)。


5. 最近のトレンド:「特定施設」のサ高住に注意

少し話を複雑にしますが、最近は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたサ高住(いわゆる「介護型サ高住」)も増えています。

これは、「建物はサ高住(賃貸)だけど、サービスの中身は有料老人ホーム(24時間介護付)」というハイブリッド型です。

このタイプであれば、サ高住の自由さを持ちつつ、介護費用は定額で、重度になっても住み続けられます。

「サ高住」という名前だけで判断せず、「介護サービスの提供形態はどうなっていますか?」と必ず確認しましょう。


まとめ:今の状態だけでなく「5年後」を想像して

「今は元気だからサ高住でいい」と入居しても、数年後に認知症が進んで退去を迫られ、また施設探し…という「漂流老人」のリスクは避けなければなりません。

施設選びの鉄則は、「今の元気な状態」と「将来介護が必要になった状態」の両方をシミュレーションすることです。

  1. 自由を優先するなら「サ高住」。 ただし、重度化した時の住み替えリスクを覚悟する。

  2. 安心と終の棲家を求めるなら「有料老人ホーム」。 多少の規則はあるが、介護の不安は消える。

どちらが良い・悪いではありません。ご本人とご家族が「どんな暮らしを望むか」によって正解は変わります。まずは見学に行き、その場の空気感とスタッフの対応をご自身の目で確かめてください。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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