エンディングノートの書き方徹底解説!「資産」「介護」「葬儀」で家族が迷わないために

「終活」という言葉が一般化し、自分の人生の終わりに向けて準備を始める人が増えています。その中で、エンディングノートは、あなた自身の「思い」や「情報」を家族に正確に伝えるための、非常に重要なツールです。

エンディングノートは、法的な効力を持つ「遺言書」とは異なり、形式に縛りがありません。そのため、あなたの希望やメッセージを自由に綴ることができます。

この記事ではエンディングノートの書き方や内容について詳しく解説していきます。どうぞ最後まで読み進めてみて下さい。

終活のイメージ画像

なぜエンディングノートが必要なのか?

もしもの時、あなたの家族はさまざまな手続きや決断に直面します。その際、情報が整理されていないと、精神的にも時間的にも大きな負担をかけてしまいます。

家族の負担軽減

預金口座、保険、連絡先、希望の葬儀形式などを残すことで、家族が「何から手を付けていいか分からない」という状況を防げます。

希望の実現

終末期医療や介護、葬儀やお墓に対するあなたの「こうしてほしい」という意思を明確に伝えられます。

老後や終末期についての介護や医療、亡くなったあとの葬儀やお墓、財産や貴重品に関する情報とそれらの相続と遺品整理についてなどが主な内容に挙げられます。

エンディングノートに書くべき主要3分野の項目

家族が最も困る「資産」「介護」「葬儀」の3分野を中心に、具体的に書くべき内容を解説します。

資産・財産について(相続トラブルを防ぐ)

残された家族が相続手続きをスムーズに進めるために、「どこに」「どのような」財産があるのかを漏れなく書き残します。負債(借金やローン)についても忘れずに記載しましょう。

項目 記載すべき情報
預貯金

金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号。通帳や印鑑の保管場所も

生命保険 保険会社名、保険の種類、証券番号、受取人。
不動産 所在地、種類(土地/建物)、権利証の保管場所。
有価証券 証券会社名、口座番号、保有している銘柄。
デジタル資産 SNSアカウント、ネット銀行、電子マネー、サブスクサービスの有無とID・パスワードの「ヒント」(暗号や合言葉など、信頼できる家族だけがわかる形で)。
負債・ローン 借入先、金額、返済方法。
遺言書の有無 遺言書がある場合は、その保管場所種類(自筆証書遺言か公正証書遺言か)を明記。

医療・介護について(あなたの意思を尊重してもらう)

判断能力が衰える前に、あなたが望む医療や介護の形を伝えておくことが、ご自身の尊厳を守ることにつながります。

項目 記載すべき情報
基本的な情報 血液型、持病、アレルギー、服用中の薬、かかりつけ医。
介護の希望

在宅介護を希望するか、施設入所を希望するか。希望する施設や重視する条件なども

延命治療の意向 延命治療を希望するかどうか、もしもの時に誰の判断を尊重してほしいか
臓器提供 臓器提供の意思表示(意思表示カードの保管場所など)。
財産管理 認知症などで判断能力が低下した場合に、誰に財産管理を任せたいか

葬儀・お墓について(家族の迷いをなくす)

家族の「どうしてあげたらいいだろう」という迷いを最小限にするために、具体的な希望を伝えます。

項目 記載すべき情報
葬儀の形式 家族葬、一般葬、一日葬、直葬など、希望する形式とおおよその予算
喪主の希望 誰に喪主を務めてほしいか。
参列者 呼んでほしい人、呼ばなくていい人のリストや基準。
遺影の写真 遺影に使用してほしい写真の場所やデータ。
お墓・供養 宗派、菩提寺、お墓の場所、散骨や樹木葬などの供養方法の希望。
連絡先リスト 葬儀の連絡をしてほしい親戚や友人、知人の連絡先一覧。

エンディングノートを書き進めるための3つのコツ

  1. 完璧を目指さない
    ノートは一度に全てを書き上げる必要はありません。書きやすい項目(例:基本情報、感謝のメッセージ)から手を付け、少しずつ埋めていきましょう。
  2. 具体的に書く
    「小規模な葬儀にしてほしい」だけでは曖昧です。「家族と親戚のみの30名規模で、費用は100万円以内で」のように、数字や固有名詞を入れて具体的に書きましょう。
  3. 保管場所を共有する
    せっかく書いても、家族に見つけてもらえなければ意味がありません。保管場所(例:リビングの引き出し、金庫)を信頼できる家族に必ず伝えておきましょう。

エンディングノートは、あなたの「思い」を未来の家族に託す、愛のメッセージです。このノートを通じて、あなた自身が安心して、残りの人生をより豊かに送るきっかけにもなるでしょう。

まとめ

エンディングノートは、単なる事務的な情報整理リストではありません。それは、あなたが人生の最終章で望む生き方や終わり方、そして家族への深い愛情と感謝を伝えるための重要なツールです。

・家族の負担を軽減

資産の所在、保険情報、重要連絡先などを整理することで、もしもの際の手続きの混乱と負担を劇的に減らすことができます。

・あなたの意思を尊重

延命治療や介護の希望、葬儀やお墓に関する具体的な希望を明記することで、あなたの尊厳が守られ、望む形で最期を迎えられる可能性が高まります。

・法的効力はないが、価値は絶大

法的効力を持つ遺言書とは異なりますが、そこに綴られたメッセージや情報は、残された家族にとって何物にも代えがたい指針となります。

完璧を目指さず、まずは書きやすい項目から少しずつ、ご自身のペースで作成を始めてみてください。そして、書き終えたら必ず信頼できるご家族に保管場所を共有しましょう。

エンディングノートの作成は、未来の家族への「究極の思いやり」であり、残りの人生を自分らしく生きるための前向きな一歩となるはずです。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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