60代から始める資産運用は何がおすすめ?

60代は退職金などまとまった金額を手にする方もいますが、これからの老後生活を心配される方が少なくありません。
人生を100年と考えて生活設計を行なうと、これまでの資産計画でよかったのか、もう一度見直す必要があると気付くかもしれません。

本記事では、60代の方がはじめて資産運用をする際におすすめの方法やコツ、取り崩しながらの運用方法について解説します。ぜひ参考にしてください。

資産運用のイメージ画像

なぜ資産運用が大事なのか

2021年4月に70歳までの就業機会確保を目的に、改正高年齢者雇用安定法が施行されました。今までの60歳定年という通例から雇用継続の機会が少しは増えるものと考えますが、働かなくなった以降は、年金を収入源とした生活になります。

そうなると、当然老後資金が心配になります。老後のための貯蓄をそのまま運用せずに使い続けるだけだと、途中で貯蓄がなくなってしまうかもしれません。これを防ぐためには貯蓄を少しでも増やしていくその方法を考えていくことの重要性が増しているといえます。そのため資産を運用することが大事なのです。

資産運用や投資が推奨される理由

資産運用をおすすめする理由は大きく3つあります。

  • 預金の金利よりも高い利回りで運用できる可能性がある
  • 年金給付だけでは老後の生活が厳しくなる
  • 物価上昇やインフレへの備えになる

預金の金利よりも高い利回りで運用できる可能性がある

資産運用の大きな特徴は、預貯金よりも資産を効率的に増やせる可能性があることです。
資産運用の目的で購入する金融商品は基本的には値上がりしていくため、資産価格の上昇が期待できます。

年金給付だけでは老後の生活が厳しくなる

年金給付だけでは老後の生活が厳しいことも、資産運用や投資が推奨される理由の1つです。

将来の年金制度には不安を抱えている方が多数いるでしょう。年金の給付開始年齢は今後70歳以降に引き上げられるのではないかともいわれています。

物価上昇やインフレへの備えになる

インフレリスクへの対策になることも、資産形成の特徴です。インフレが続けばお金の価値が相対的に下がってしまうため、預貯金だけでは資産が減少してしまうこともあります。資産形成を行えば、そのような事態を防げる可能性があるでしょう。

60代から始める資産運用のポイント

60代の方が資産運用を始めるにあたって、いくつかポイントがありますので解説していきます。

分散投資をする

60歳から資産運用を始める際は、リスクを軽減するために分散投資が大切です。そうすることで、1つの金融商品で価格が落ちたとしても、ほかの商品が上昇してカバーできる可能性があり、リスクの軽減につながります。

長期間で取り組む

60代からの資産運用では、短期での取引は避けましょう。長期で取り組むことで、たとえ一時的に価格が下がったとしても、再び上がるのを期待できます。資産形成を始める際は、短期的な価格の変動に一喜一憂せず、長期で取り組むことを念頭に置きましょう。

長期投資は売買回数が少なく手数料を抑えることができ、積立投資との相性も良い方法です。また、複利効果を得やすいため、資産を効率的に増やせる可能性があります。

ハイリターンの投資をしない

60歳から老後資金を適切に管理したいなら、増やすことを最優先にするのは避けましょう。

ハイリスク・ハイリターンの投資には資産を大きく増やす可能性がある一方で、大きく減らすリスクも伴います。退職金や貯金を短期間で失う恐れがあるため、慎重に検討する必要があります。

ハイリスク・ハイリターンの投資には、以下のようなものがあります。初心者は手を出さないほうがよいでしょう。

・FX
・仮想通貨
・先物取引
・信用取引

また、株式投資や投資信託の中にも、ローリスク・ローリターンの商品とハイリスク・ハイリターンの商品があります。投資資金に十分な余裕がある場合はハイリスク・ハイリターンの投資も考えられますが、余裕がない場合はローリスク・ローリターンの商品で運用することをおすすめします。

余剰資金を使う

60歳から資産運用を始める際には、貯蓄とは別の余剰資金を使うことが大切です。
生活費や緊急事態用のお金は常に確保し、余剰資金で資産形成を行うことで、金融商品の価格変動や元本割れといった事態になっても生活を維持できます。
余剰資金がない場合は、まずは家計を見直すなどして余剰資金を作ることから始めることをおすすめします。

目的・目標を明確にする

60歳から資産形成を賢く行うポイントのひとつに、目的・目標を明確にすることがあります。「老後資金として◯◯年後までに◯◯円の資産を作る」といった目的と目標があることで、最適な金融商品を選ぶことができるようになります。

60歳から始めるおすすめの資産運用

ここからは60代の投資初心者にもおすすめできる資産運用の方法を4つ紹介します。

①投資信託

投資信託とは、不特定多数の投資家から集めた資金を、専門家が複数の資産に分散投資して、その運用による収益を投資家に分配する金融商品です。プロの投資家に運用を任せられるため、初めて投資する方でも始めやすいです。

おすすめする主な理由としては以下になります。

・少額から投資が始められる
・分散投資によるリスク軽減
・運用の専門家が運用してくれる

少額から投資が始められる

株や債券と違って、投資信託は100円から始めることもできます。初心者でも気軽に取り組めるでしょう。

分散投資によるリスク軽減

投資信託は、さまざまな銘柄や商品に投資するため、リスク分散ができます。また、複数の銘柄を運用するため、1つの商品を購入するだけで数十〜数千種類の銘柄に分散投資が可能です。

もし老後資金を運用する場合には、できるだけ幅広く分散投資できるバランスファンドなどがおすすめです。バランスファンドとは、国内株式、海外株式、国内債券、海外債権、REIT(不動産)、金、石油などのコモディティを中心に分散投資された商品です。

運用の専門家が運用してくれる

プロの投資家に運用を任せられるため、初めて投資する方でも始めやすいです。個人では、海外株式への投資は難しいですが、そのような商品にも投資できます。

②新NISAつみたて投資枠

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、投資経験の少ない60代の方は、まずは簡単で手軽な「つみたて投資枠」から始めるのがおすすめです。

つみたて投資枠は、「つみたて」をする専用の投資枠で年間120万円まで投資でき、資産形成に適した商品だけが選べるようになっています。大まかなメリットは以下になります。

  • 月100円からでも始められる
  • 買える銘柄が厳選されている
  • 知識がなくてもカンタンに取り組める

月100円からでも始められる

つみたて投資枠の最大の魅力は、少額から始められる点だ。多くの証券会社では100円から積立投資が可能で、自分の余剰資金額に合わせて無理なく始められます。

買える銘柄が厳選されている

『つみたて投資枠』で投資できる商品は、金融庁が定める要件を満たす長期の積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。60代の初心者にとっては取組みやすいです。

知識がなくてもカンタンに取り組める

つみたて投資のもうひとつの魅力は、一度設定してしまえば、あとは自動的に投資が続いていくこと。
毎月の年金受取日に合わせて自動で投資されるよう設定すれば、その後はとくに操作が必要ないのが良い。
60代の投資初心者でも、月々の積立設定さえすれば、あとは自動的に資産形成が進む仕組みなので取り組みやすい。

③債券投資

債券とは、国や企業などの発行者が幅広く資金を集めるために発行する有価証券です。国が発行する債券を国債、企業が発行する債券を社債といいます。

債券を購入すると、資金を国や企業に貸している期間に年2回の利息収入を得ることができ、満期になれば元本が戻ってきます。

しかし、途中で売却すると元本割れになったり、債券の発行主が破綻すると債務不履行(デフォルト)となり、額面分の金額が戻ってこないリスクもあるので注意しましょう。

不動産投資

不動産投資とは、お持ちの不動産を賃貸として貸し出し家賃収入を得たり、そのお持ちの不動産を売却することで売却益を得たりする現物の不動産を介した投資をいいます。

不動産は、株式などの金融商品に比べて価格変動が少なく、安定性が高い資産として扱われることが多く、不景気になっても価格が落ちにくい安定した値動きを期待できる点が60代に不動産投資が推奨される理由です。

まとめ

60代で始めるのに最適な投資方法について解説しました。60歳からの資産運用は「資産を増やす」のではなく「資産寿命を延ばす」という意識を持ち、安定的に運用することが必要です。


老後資金となるとご自身の生活費としても使っていくことになるので、なるべくリスクを避けたうえで効率的な運用方法で投資をしていくことが重要です。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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