公的年金だけじゃない!iDeCo・新NISAで賢く作る「第2の年金」

「公的年金だけで豊かな老後を送るのは難しい」。そう言われる現代において、自助努力による資産形成の重要性はますます高まっています。そこで、多くの人が注目しているのが「第2の年金」を作るためのツール、iDeCo(個人型確定拠出年金)と新NISAです。

この記事では、iDeCoと新NISAのそれぞれの特徴を比較しながら、これらを賢く活用して「第2の年金」を作る方法を解説します。

iDeCoと新NISA、それぞれの特徴を比較!

iDeCo(個人型確定拠出年金)と新NISAは、どちらも老後資金を賢く作るための有力な手段です。新NISAは運用益が非課税になり、iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になるため節税効果があります。収入が少ない場合は新NISAを優先し、手数料の負担が大きくなるのを避けるべきです。まずは、iDeCoと新NISAのそれぞれの特徴を理解し、ご自身の収入や資産状況、ライフプランに合わせて最適な選択をすることが重要です。

  新NISA iDeCo
対象商品 【つみたて投資枠】
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託

【成長投資枠】
上場株式・投資信託等
投資信託・定期預金・保険商品
利用可能期間 無期限 原則、65歳未満まで拠出可能
年間投資枠
(非課税投資枠)
【つみたて投資枠】
120万円

【成長投資枠】
240万円
加入条件により
14万4,000円~81万6,000円
対象年齢 18歳以上 20歳以上65歳未満
税制メリット 運用益が非課税 ・運用益が非課税
・掛金分が所得控除
・受取時も控除対象
引き出しのタイミング いつでも可能 原則、60歳まで不可
口座管理手数料 なし 加入時の手数料と月々の手数料がかかる
(運営管理機関により異なる)

iDeCoの有利なポイント

所得控除がある

iDeCoが有利なポイント1つ目は、所得控除があることです。掛金を拠出すると、その分の金額が所得から控除され、所得税と住民税が減額されます。例えば、所得税率と住民税率がそれぞれ10%の人が年間10万円の拠出をした場合、所得税と住民税がそれぞれ1万円ずつ安くなるイメージです。

新NISAにはこの所得控除の仕組みがありません。資産形成をしながら節税もしたい人には、iDeCoをおすすめします。

元本保証の商品がある

iDeCoで運用する商品には、定期預金などの元本が保証されるものもあります。投資商品と組み合わせることでリスクをコントロールすることができます。新NISAの場合、投資対象は運用商品のみなので、普通預金や手元の現金などとトータルで考えてリスクをコントロールします。

確実に老後資金を貯められる

iDeCoは原則60歳以降でないと引き出しができません。ただ、途中引き出しができないということは、浪費癖のある人などにとっては、原則60歳まで散財する心配がないということでもあります。
そのため、より確実に老後資金を用意したい場合は、iDeCoをおすすめします。

年金形式で受け取れる

iDeCoは60歳以降に資金を受け取る際、受取方法を「一時金」「年金形式」「一時金と年金形式の併用」から選べます。新NISAにはこうした仕組みはありません。

老後の生活資金として毎月定額のお金を受け取りたい人は、「年金形式」での受け取りを検討するとよいかもしれません。ただし、受け取り方や受取金額によって税金の発生有無や税額が異なるため、実際の受取時にはシミュレーションが必要です。

新NISAの有利なポイント

非課税で運用できる

新NISAが有利なポイント1つ目は、非課税で運用できることです。新NISAは、株式投資などで得た利益が一定金額の範囲内で非課税となります。

通常、投資で発生する利益には約20%の税金がかかります。例えば、80万円で購入した株を100万円に値上がりしたタイミングで売却すると、利益20万円(100万円-80万円)に対して約4万円(20万円×約20%)の税金がかかる仕組みです。しかし、新NISAで投資すれば利益に対して税金がかからず、利益20万円を全額受け取れます。

iDeCoも同様に投資で得た利益は非課税となります。

期間の制限なく運用できる

新NISAが有利なポイント2つ目は、期間の制限なく運用できることです。新NISAは、生きている限り非課税で商品を運用できます。運用期間や年齢に上限はありません。

一方で、iDeCoの場合、75歳までに受取を開始する必要があります。

いつでも引き出せる

新NISAが有利なポイント3つ目は、いつでも引き出せることです。新NISAは運用している商品をいつでも売却して現金化できます。

一方、老後資金であるiDeCoは原則60歳以降でないと引き出しができません。教育資金やいつ発生するか分からない万一の支出への備えは、いつでも引き出せるNISAがおすすめです。

さまざまな商品に投資できる

新NISAが有利なポイント4つ目は、さまざまな商品に投資できることです。具体的には次の通りです。

  • 新NISA:株式、投資信託、ETF、REIT(つみたて投資枠は投資信託のみ)
  • iDeCo:投資信託(定期預金と保険も利用可能)

新NISAは、投資信託以外にも株式やETF、REITなどに投資が可能です。さまざまな商品に投資したい人は、新NISAの利用を検討したほうがよいかもしれません。

まとめ

公的年金だけでなく、iDeCoと新NISAを活用して「第2の年金」を自らの手で築くことは、将来の安心につながります。両制度のメリット・デメリットを理解し、自身のライフプランに合わせて最適な組み合わせを検討しましょう。ただし、投資には元本割れのリスクがあることを十分に理解し、無理のない範囲で始めることが大切です。

本記事の内容は、原則、記事執筆日時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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